たちばな慶一郎 過去の国政報告

国政報告(第34号)

2010年4月30日(金)

 ゴールデン・ウィークに入り、まだ気温は低めですが、ようやく季節にふさわしい日差しが戻ってきたようです。国会も5月10日(月)の週までしばし審議がストップし、有力閣僚が相次いで外国出張する一方、鳩山総理は沖縄入りとなるようです。

 新政権が昨年9月に発足して僅か7か月で、今朝の共同通信社の世論調査結果では内閣支持率が20%スレスレまで落ち込みました。通常国会の審議を振り返ってみても、子ども手当、高校授業料無償化、米の戸別所得補償と、昨年夏の民主党のマニフェストの政策は個々には実施に向けて進んでいるものの、大本の財源についてはまったく見通しが立ちません。高速道路の料金設定は政府与党間の対立で決まらず、郵便貯金の預け入れ限度額も突然2千万円への引上げ方針が打ち出され、公務員改革についても「公務員庁」の設置を検討すると、唐突に表明されました。

 新政権は何を目指しているのか、どんな日本にしたいのか、根本的なところが定まっていないように感じます。政府側は「マニフェスト通り」と答えるのでしょうが、そもそもマニフェスト自体に財政面で無理があり、実行が難しいわけです。中長期の財政運営をどうするのか、沖縄の基地問題にどう対処するのか、という内政・外交の二大課題に対して、内閣の確固たる方針がないことが今の不透明感・閉塞感につながっていると思います。この状況を増幅したのが、今週の小沢幹事長の事件についての検察審査会の「起訴相当意見」です。説明責任の履行を含め、一連の事件について民主党の毅然とした対応が望まれます。

 もっとも、世論調査では私の所属する自由民主党への評価も厳しいままで、「民主党にはガッカリしたけど、自民党にも戻りたくない。当面は第3極に期待しようか」というお気持ちの方が多い結果となっています。昨日、高岡で聞かれた後援会女性部の会合でも同様な意見が出され、考えを尋ねられました。なかなかスカッとした答えは無いのですが、まずは、自分の議員としての務めを委員会審議を通じて果たしたいと考えています。国家公務員制度の改革にしても、民間企業や市役所での労務・人件費管理の経験を土台に自分なりの意見を政務三役にしっかり伝えます。

 7月の参議院選挙では民主党・与党に過半数を与えず、「良識の府」とされる参議院を舞台に、これからの日本の針路について与野党が協力して最善の答えを出していくシステムを実現させたいと思います。国・地方の借金が862兆円まで積み上がり、人口減少が顕著となった我が国は、今こそ慎重に変化の舵を切らなければならないと考えます。折角皆様に与えていただいたこの議席をしっかりと生かして、日本の進むべき道を見いだすよう努力していきます。ともあれ、連休中は富山でさわやかな空気を吸って充電します!

国政報告(第33号)

2010年4月24日(土)

 4月にしては寒い日が続いているものの、樹々の緑も伸び始め、チューリップフェアも開会して、季節は着実に進んでいるようです。

 今週も、21日(水)の第3回党首討論、舛添議員の離党・新党結成、普天間基地問題、高速道路料金を巡る政府・与党の確執と盛り沢山かつ先の見通せない事件が続き、23日(金)の事業仕分け第2弾で幕切れといった感じです。鳩山総理の「言葉の軽さ」は定説となり、ご自身の政治資金問題をうやむやにされ、徳之島の皆さんの怒りを招くのももっともです。高速道路料金の迷走では、総理のリーダーシップに完全に疑問符がつきました。政府・与党が重大なエラーを重ねる一方、攻める立場の自民党が団結力と存在感を十分に示せないまま、「第3極」を看板とするミニ政党が乱立気味とあっては、国民の政治不信が高まるのも無理はありません。永田町の現場を経験させて頂いている私も、「何ができるのか?何をすべきか?」と悩みます。

 そこで、私の立場ですが、現政権は財政規律や外交展開の面で国を沈没させかねない問題を持っており、参議院選挙で民主党に過半数を与えてはいけないと考えます。むしろ与野党逆転を実現させ、真に国が立ち行ける政策を与野党協力して立案していく「救国国会」としなければならない重大な局面にあると思います。そのために、自分たちで選んだ谷垣総裁の下で政権力委員会の地域問題副担当としての職責を果たし、地方区では野上候補予定者を全力で応援する考えです。国会で所属する内閣・総務委員会での質問を通じ、経験に基いた政策を提起し、「地方から始まる新しい国のかたち」の実現に努力していきます。

 今週は、23日の内閣委員会で国家公務員法の改正案について3度目の質問に立ちました。嬉しいことに、党派を超えて多くの同僚議員から「万葉集、楽しみにしているよ!」と声を掛けて頂き、額田王の「熟田津に 船乗りせむと 月待てば 潮もかなひぬ 今は漕ぎいでな」を冒頭に朗唱しました。与野党の意見の対立から時には荒々しい声も飛び交う委員会室ですが、万葉の秀歌には皆さんの心をしばしなごませる効能があるようです。

 肝心の質問では、国家財政が厳しいおり、国民に協力を求めるには国家公務員の給与水準の切り下げが避けられないとの認識で内閣も与野党委員も一致していることを確認できました。これを実現するには、労働団体の合意が必要であり、そうなると国家公務員制度改革基本法が予定する労働団体への協約締結権の付与が当面の課題になります。政治主導の改革を進める上で、閣僚が責任感を持って労働団体の役員と話し合いをしなければ、この課題は解決できないものと思います。仙谷大臣の力の入った決意を引き出す結果となりました。引き続き、重要法案の審議で頑張っていきます

国政報告(第32号)

2010年4月17日(土)

 桜も散り始めたのに、思いも寄らぬ寒波の襲来で、東京は16日(金)の夜に雪がちらつきました。4月の東京では珍しい天候で、陽気が戻るのが待たれるところです。

 今週は、前号の予想通り、火・水・木曜と3日続けて総務委員会と内閣委員会で質問に立ちました。総務委の独立行政法人通則法改正案審議では、下旬に行われる事業仕分け第2弾の進め方を枝野大臣に確認しました。あくまでも対象法人の個別の事業を吟味するもので、法人の存廃については、仕分け結果も参考に行政刷新会議で検討するとのことです。15日(木)には採決の結果、政府案が採択されました。改正法に基づき、個々の法人の不要財産が国庫に返納される点は前進ですが、その他の改革は全て先送りとなり、「時計が止まって」いるのでは…と疑ってしまいます。

 内閣委の国家公務員法改正案審議では、事務次官・局長・部長を一つのグループとして、例えば次官から部長への異動も「転任」であって「降格」ではないとする政府案に「常識」の立場で疑問を投げ掛けました。政務三役は、次官・局長・部長に求められる「標準職務遂行能力」は同一とみなせ、この間の異動は「転任」とする立場で、議論は平行線でした。

 国の在り方を決める法律の世界で、一般常識から外れる内容を作り出すことは立法府の立場として問題ではないかと思います。新政権には内閣法制局の役割を限定するなど、法律を自己中心的に解釈・運用しようとする危うさがあり、これをチェックするのも野党の大切な役割だと思います。

 16日の本会議では労働者派遣法改正案の趣旨説明があり、代表質疑で久し振りに鳩山首相の答弁を聴きました。自由民主党の棚橋議員から来年度は子ども手当てを満額支給するのかと問われ、最初は「マニフェスト通り」と答えながら、再質問に対し「額はまだ決まっていない」と応じられたのは驚きでした。将来に向けて政策の選択肢を残すことは大切ですが、同じ質問に対し、方針が揺れていると受け取られる答弁は問題だと思います。

 鳩山首相の「言葉の軽さ」の本質は、このような「揺らぎ」に起因するのかも知れません。しかし、各報道機関の内閣支持率が月毎に着実に下がっている原因もまた、総理の言動にあると思います。野党議員の食い下がる質問をうまくいなすことも、政府与党の役割とも言えますが、そこには「一貫した姿勢」や時には「覚悟」がなければ信頼を勝ち得ることはできません。地方議会で答弁に立つ首長の皆さんもきっとそうだと思います。

 つきつめると、折角射止めた総理ポストに座わって、何を成し遂げようとしたいのか、そんな基本的な姿勢が鳩山首相には欠けているのでは…。半年の政権の歩みを見ながら、そんな結論に立ち至る最近です。来週は、21日(水)の3回目の党首討論が注目です。

国政報告(第31号)

2010年4月10日(土)

 今週は、衆議院で国家公務員法と独立行政法人通則法の改正案が審議入りしました。いずれも生活には関わりが薄いものの、国の行政の在り方を考える上では重要な法案です。公務員法は内閣委員会、法人法は総務委員会といずれも私の所属委員会での審議となります。内閣委員会は水曜・金曜、総務委員会は火曜・木曜が定例開催日ですので、来週は日程が立て込みそうです。審議時間も長くなり、私にもそれぞれ1時間以上の質問時間が割り当てられました。

 早速、9日(金)の内閣委員会で30分、公務員改革担当の仙谷大臣ほか政務三役への質問に立ちました。これで昨年の臨時国会以来、ちょうど10回目となります。法案は国の部長以上の幹部公務員の人事を首相直属の内閣官房に一元化することを目玉としていますが、かねてから課題となっている国家公務員人件費の削減については手付かずとなっています。新政権では総人件費5兆円の2割を削減し、新規施策の経費に充てる方針ですが、今のところ目立った進展はありません。

 そこで、仙谷大臣のこれからの取り組み方針を伺う質問から始めました。やり取りを通じて感じ取ったところでは、新政権発足後半年が過ぎ、前政権から引き継いだ課題の現状や問題点を把握してみて、それぞれに現実的な対応が必要であることがわかってきたということです。公務員制度改革には、人事院、総務省、財務省など関係官庁のチームプレーが欠かせません。政治主導といっても、それを支える役所のスタッフにも力を発揮頂き、専門的な部分は処理させないと、改革という大きな船は動かないわけです。

 この点で、新政権は政務三役だけの打ち合わせにこだわり過ぎて、物事を決める過程に時間がかかり過ぎる欠点が際立ってきています。わかりやすい事例は普天間基地の問題ですが、今回の公務員法や法人法でも、改革が停滞していることがはっきりしてきています。仙谷大臣は、「総人件費2割削減は難しい課題だが何とか後3年間でやり遂げたい。しかし、閣議決定で政府方針とするわけにはいかない。」との答弁でした。それならば、マニフェストを見直し、財政規律を念頭に置いて、執るべき施策を吟味すべきです。来週も、13日の総務委員会、14日の内閣委員会と質問に立ち、改革を前進させる視点で政府との議論を進めたいと思います。

 参議院議員選挙まで約3か月、自由民主党も、先週の両院議員懇談会を受けて、中堅・若手で組織する「政権力委員会」を立ち上げ、私も地方分権・地域再生・中小企業分野で赤沢亮正担当を補佐する副担当を仰せつかりました。景気の浮揚はもちろん、「若者が多様な自己実現ができる地域」という、自分なりの理想像を目指し、国土の均衡ある発展に向けて、努力していきます。

国政報告(第30号)

2010年4月4日(日)

 富山でも桜が咲き始めました。寒暖の差の大きい毎日のため、意外に見頃の時期が長くなりそうですね。年度代わりの今週、4月1日(木)には東京もスーツに身を包んだ新入社員の皆さんが目立っていました。

 通常国会も、3月31日(水)の党首討論を経て新年度の重要法案の審議が6日(火)から始まる予定です。その間、政府では郵便貯金の預け入れ限度額を1千万円から2千万円に引き上げる方針が決まりました。普天間基地の移転先については「腹案」はあるものの、公表は見送られて5月末までの解決に努力することになりました。

 新政権で2度目の党首討論は、谷垣総裁が鳩山首相の政治姿勢に厳しく迫り、普天間問題での首相の曖昧さを浮かび上がらせた点で大方の評価は前回を上回ったと思います。これを受けた形で、1日、2日と自由民主党では両院議員懇談会が、朝8時から10時近くまで開催されました。内容は詳しく報道されていますが、皆さんの意見は「参議院選挙で民主党に過半数を取らせず、『ねじれ国会』を実現することで、民主党マニフェストの政策を見直させ、国政をより良い方向に進めたい。そのために、自由民主党は谷垣総裁のもとに団結して頑張らなくてはならないし、政策を明確に示して国民にしっかりと訴えなければならない。」と集約できたと思います。

 では、集約しきれなかった点は、といえば、この共通目的を達成する手順にあるというのが私の見方です。党員選挙で選んだ谷垣総裁のもとに進むことは当然として、執行部など党運営に中堅・若手をもっと見える形で起用してほしいという意見に、執行部が納得できる解決策を用意できていない現状です。この点では、懇談会初日の序盤で、総裁が「人事を行う気持ちは毛頭ない」と、否定型の発言をされたことが残念です。皆さんの意見を聞いた後のまとめでは、「中堅・若手の起用策を含め、時間をかけずに検討する」と前向きの発言に変わっただけになおさらです。

 自分自身も反省しながらですが、この種の 「みんなの意見を聴く」懇談会では、主催者は「聞き役」に徹し、発言も否定型ではなく肯定型でするのが基本だと思います。社員懇談会しかり、タウン・ミーティングしかりです。否定型で臨まれると、出席者は「私の意見は間いてくれないんだ…」とがっかりしてしまうのです。総裁のまとめが柔軟なものであっただけに、先の発言は惜しかったと思います。しかも、報道もそこをとらえた記事が多かっただけになおさらです。

 若林議員のボタン投票問題での辞職、与謝野議員の離党と、残念なことが続きましたが、今後の執行部の対応に期待しながら、重要法案の審議で、質問の準備など、自分なりに努力していきます。新年度も、6市の発展とより良い国づくりに心新たに頑張ります。

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