2013年4月

国政報告(第180号)

 今週は新年度予算案の審議が参議院に移る一方、衆議院では19日(金)に委員会採決を終えた「0増5減法案」が23日(火)に本会議で可決され、参議院に送られました。同時に、ハーグ条約の批准案件も可決となり、「マイナンバー法案」も委員会採決が近いようで、衆議院側では今国会の懸案処理に目途が立ちつつあります。参議院でも、予算案の採決が5月15日(水)までにはなされる見込みで、その後、会期末までさらに案件処理が進むものと思われます。数年ぶりに、法案成立率の良い国会になりそうです。

 総務省の仕事では、19日に首都圏のテレビ電波を東京タワーからスカイツリーに移す上で、受信障害のある世帯を解消する仕事を進めている「移行推進センター」を訪問しました。この電波移転は、NHKと在京民放6社の共同事業として進められており、5月末前後を目指し、春先からスカイツリーからの試験電波を発射して地域で不都合を生じる箇所を洗い出しています。既に10万件近い障害が通報され、逐次障害除去の工事を進めています。意外な事に、障害の大半は、電波がうまく届かないのではなく、東京タワーに比べて届く電波が強すぎて、ブースターという調整器具が不具合を起こすもので、かえってスカイツリーに近接する地域で発生しています。試験電波を毎日一定時間流しながら、不都合の連絡をコールセンターで受け付け、日時を打ち合わせて工事をするという作業が地道に進められており、関係者の激励に伺った次第です。今後、電波移転で大きな混乱が生じない所まで対策が進むのを見極めた上、移転日時を決める事になりますが、ゴールデン・ウィークも返上しての努力が実るように願っています。

 24日(水)にはボツワナ大使館を訪問し、地デジ放送の日本方式を採択頂いた御礼と併せ、今月上旬のボツワナ訪問の模様をお知らせしました。26日(金)にはアンゴラ大使館を訪問し、日本方式の採択をお願いしてきます。6月の第5回アフリカ開発会議(TICAD-V)を前に、もうひと押しです。

 このほか、25日(木)には来月末を目途に取りまとめられる予定の総務省の「ICT成長戦略」に向け、関係の検討委員会が相次いで開催されました。最先端の情報通信技術(ICT)を、医療、教育、農業、社会資本の維持管理、資源開発、電子政府など経済社会の様々な分野に応用する具体的なプロジェクトづくりが進んでいて、内閣全体の成長戦略に反映させようとしています。私が主催している国産携帯電話のシェア拡大、日本の放送番組の海外展開、の2つの研究会も22日(月)と25日(木)で開催するなど、今週は総務省の業務が盛りだくさんでした。28日(日)は主権回復記念式典に参加、来月2日(木)から4日(土)は在京当番にて、連休は富山と東京が半々です。少しは鋭気を養い、後半の国会に臨んで行きます。

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国政報告(第179号)

 桜前線が北上する中、先週末は富山で満開の桜に出会い、今週の東京は新緑に早くもつつじが映える状態です。国会は12日(金)に続いて15日(月)も衆議院で予算委員会分科会での審議が進み、私も今後の郵政事業についての総務省の見解を述べる答弁に立ちました。16日(火)には予算委員会・本会議が相次いで開かれ、今年度予算案は衆議院を通過しました。私には、与党に転じて初めての本予算の審議・可決であり、その瞬間は達成感がありました。

 来週からは参議院での審議に移りますが、憲法の規定により、今年度予算は1ヶ月後の5月15日(水)までには必ず成立するので安倍政権の経済政策「三本の矢」の二本目、財政政策もこれで切れ目なく展開していくことになります。後は、三本目の成長戦略を具体的にどう構築するかが課題です。一方、国会の審議は大詰めを迎えている「マイナンバー法案」に続き、衆議院の定数を是正し、選挙違憲・無効判決に対処する「0増5減法案」が焦点です。

 昨年11月の衆議院解散の際、自由民主・公明・民主三党が合意して、定数是正の方策として小選挙区の0増5減と比例区の削減を検討するとし、0増5減を先行させて選挙区割りの変更案をまとめる審議会が設置されました。今回の法案はこの区割り審議会の結論に基づくものですが、野党側は比例区の取り扱いの協議もまとめてから法案を取り扱うべきとの考えです。与党側は、比例区の取り扱いについての各党の考えに隔たりがあり、協議が遅れることを懸念しています。今国会で、定数是正について何ら対応できないとなると、司法の違憲・無効判決に立法府として対処できない事になります。このため、「0増5減法案」の審議を進め、19日(金)にも委員会採決を行いたい考えです。

 私には与党に転じて始めての「与野党対立局面」ですが、ここは石破幹事長の姿勢の通り、頑張り所と思います。現在480ある衆議院の定数を、まずは0増5減で475とし、さらに比例区の180議席をどの程度削るか、与野党で時間をかけてもしっかり協議し、結果として450前後の定数にして、その得失を見定めるべきです。このほか、日米首脳合意に基づく「ハーグ条約」関連の案件や、年金保険料未納者救済の法案の審議も進んでおり、これらが成立すれば、今国会の出口は着実に見えてくるものと思います。野党時代から指摘してきた「段取りが組めるか」という基準に照らし、内閣は着実な歩みを続けています。17日(水)の党首討論でも安倍総理は安定感のある答弁であったと感じています。

 政府の一員として、私には成長戦略の一端である総務省のICT成長戦略の立案に、新藤大臣・柴山副大臣の下で努力する事が課せられています。今週は東京大学工学部で、世界中の気象・環境の様々な観測データを統合し、豪雨や津波の浸水予測や農作物への影響予測に役立てるDIAS(地球環境統融合プログラム)を見学しました。蓄積するデータ量がとてつもなく大きく、テラ(一兆)バイトからペタ(千兆)バイトといったレベルを超える「ビッグデータ」です。これをどうやって蓄積・保存し、解析して実社会に役立てていくか、ビッグデータの可能性を探る好事例と思っています。案内頂いた原田工学系研究科長、小関副科長、小池教授、田島教授、そして国立情報学研究所長でもある喜連川教授に御礼申し上げ、今週の報告とします。

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国政報告(第178号)

 アフリカ出張から戻って最初の一週間、東京は既に桜が散って新緑の季節となる中、留守中の書類を整理しつつ、いつもの仕事に復帰しつつあります。新年度予算案の衆議院での審議も大詰めを迎え、12日(金)と15日(月)には分野別の分科会があり、その後採決となる見込みです。並行して、内閣委員会では「マイナンバー法案」の審議が進み、衆議院の定数是正法案も取り扱いが協議されています。会期末の6月26日(水)まで後76日間と、概ね150日の会期の半ばまで進んだところで、まずは着実に案件の処理が進んでいます。

 今週は8日(月)の夕刻に地元入りし、9日(火)に旧二上工業高校の校舎を活用して新たに設置された県立高岡高等支援学校の開校式に出席しました。県立高校の再編計画の中で、既存の建物を活用し、障害を持つ子ども達に学びの場を提供するとともに、職業に就く準備を整える役割も果たす北陸で初めての教育機関が誕生した訳で、石井知事はじめ関係者のご尽力に御礼を申し述べました。

 東京では、自衛隊支援県議団の皆さん、南砺市吉江地区の皆さん、県西部からの国会見学の皆さん、各市長さんなど多くの来客がありました。石破幹事長、小野寺防衛大臣への面談や、国会正門前や会館での写真撮影などをこなしつつ、故郷の方々から多くの元気を頂きました。総務省では、年央のICT成長戦略づくりに向けて、通信・放送分野での具体的な施策の検討が煮詰まり始めています。

 そんな会議の合間を縫った10日(水)、新宿区若松町にある統計局の庁舎を見学しました。総務省の統計部門は、統計局と独立行政法人統計センターから成り、明治4(1871)年に前身の太政官正院政表課以来、140年余の歴史を刻んでいます。大正9(1920)年に始まった5年ごとの国勢調査をはじめ、毎月の家計・物価・雇用等の統計調査を担当しています。須江局長、戸谷センター理事長から業務概要の説明を受け、コンピュータ・システムによる統計結果の解析手法を見学した後、家計調査の調査票の処理作業を進めている部屋に伺いました。個々の世帯で家計簿として記入された毎日の購入した品物・個数・代金を品物の性質別にコード化し、パソコン内の書式に打ち込んでいきます。職員の皆さんは殆ど女性ですが、時には商品名で記入された品物の名前を、即座に適切なコードで入力していきます。記憶力と集中力が勝負のこの作業は、情報化が進んだ今日でも統計作成の根幹を成しています。この統計からは、各地域の消費動向の特徴も見出せ、富山県のコロッケの消費動向が全国でも最上位となっていることから、高岡市長時代に「コロッケのまちづくり」に取り組む事となったのを懐かしく思い出し、職員の皆さんに御礼の挨拶をさせてもらいました。毎週一つは現場を見る事を自分の課題として、頑張っていきます。

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国政報告(第177号)

 前号でお知らせした通り、国会開会中ではありましたが、皆さんのご了解を得て、総務省の用務にて南部アフリカのアンゴラとボツワナに一週間出張してきました。3月31日(日)の夕刻に桜の成田を発ち、香港で乗り換えて13時間半、南アフリカ共和国のヨハネスブルグに1日(月)朝(現地時間)到着しました。ここでさらに飛行機を乗り継いで、最初の訪問国、アンゴラの首都ルアンダにはお昼過ぎに着きました。

 私にとって初めてのアフリカの印象は、広い大地、青緑色の大西洋、赤茶色の大地、強い日光と汗ばむ蒸し暑さ、そして椰子等の南国の街路樹でした。アンゴラはポルトガルの植民地から1975年に独立しましたが、2002年まで内戦が続き、その後は石油の産出で経済が急成長しています。お世話になった現地大使館の車には、白バイの先導が付き、車が渋滞する街中をかきわけるようにして移動しました。経済成長に社会基盤が追い付かず、港は船混み、鉄道は無く、道路は大渋滞で、物流の改善が急務です。とはいえ、国の活力が街の喧騒に顕れており、将来の飛躍への期待を感じました。

 今回の出張目的は、我が国の地上デジタル放送方式(ISDB-T方式)を南部アフリカ地域で採用するよう働きかけるもので、その旨、安倍総理の親書を持参しての旅でした。先に南アメリカでは、2006年にブラジルが採用したのをきっかけに殆どの国がISDB-T方式となっています。南部アフリカでは、国々の連合組織(SADC:南部アフリカ開発共同体)が地デジへの移行期限を本年末とし、一部の国は欧州方式を採用しています。しかし、変換器が廉価で、ワンセグで携帯電話でも視聴でき、データ放送も使えるISDB-T方式の良さが次第に認識されています。我が国がブラジルと協力し、「日伯方式」としてPRを進めた結果、2月にボツワナが採用を決め、アンゴラ、コンゴ民主共和国、モザンビーク、ザンビアでも有望となっています。前任の森田政務官をはじめ総務省職員の数次の出張の努力を後押しし、我が国で6月1日(土)から開催されるTICAD-V(第5回アフリカ開発会議)に向けて、採用国を増やすべく、アンゴラでは情報通信省のロッシャ大臣、サフェッカ副大臣、国営放送のドス・サントス総裁等に面談し、お願いしました。アンゴラはISDB-T方式が技術的に優れていると評価しており、採否は周辺諸国の動向も勘案し、政治的に判断するとのことでした。

 3日(水)にアンゴラを出て、再びヨハネスブルグに戻り、翌朝、プロペラ機に乗ること55分で隣国のボツワナに到着しました。ボツワナは、英国の植民地から1966年に独立し、人口は200万人程度ですが、ダイヤモンドを始め、鉱物資源に恵まれており、一人当たり国民所得もアフリカ内では上位に位置する落ち着いた国です。首都ハボロネは標高千メートルを超える高原にあり、丁度、季節も北半球とは逆に秋に入ったところで朝晩はしのぎやすく、南部アフリカといえども一事で言えない多様性があることを感じました。

 既にISDB-T方式を採用頂いたことから、大統領府のマシシ公共政策担当大臣、情報通信省のモレフィ大臣等に御礼のご挨拶をし、今後の地デジへの切り替えに向けて、ブラジルも含め、三国で共同作業部会を立ち上げて取り組む旨、合意しました。特に、NHKの教育放送を参考に、教育分野での活用を図りたいとの意向であり、今後が楽しみです。両国とも、会談では我が国の2020年のオリンピック・パラリンピックの東京招致の取り組みに理解を求めるとともに、富山県ゆかりの「ドラえもん」の小さなぬいぐるみをプレゼントし、場の雰囲気がとても和みました。

 5日(金)、ハボロネからヨハネスブルグ、香港と来た道を再び航空機で乗り継ぎ、6日(土)の夜、春の嵐より一足早く成田に無事戻ってきました。お世話いただいた在アンゴラの名井大使、在ボツワナの小林大使、在南アフリカの藤原参事官ほかスタッフの皆さん、同行の山口企画官、佐藤秘書官、内田専門職、関口事務官に御礼を申し述べ、出張報告とします。

 また、アンゴラで昼食をはさんで懇談頂いた、「日本地雷処理を支援する会」の奈良さん、大工園さん、近藤さん、双日ルアンダ事務所の倉光さん、東さんの今後のご活躍をお祈り致します。

 来週からは、またいつもの報告に戻ります。

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