2013年7月

国政報告(第193号)

 昨21日(日)に参議院選挙が終り、地方区では堂故茂さん、比例区では山田俊男さんほか関係者が当選を果たしました。全体として自由民主党が65議席、公明党が11議席と、与党が76議席を確保して参院の過半数を超え、「ねじれ」が解消されました。新たな局面に入った国政の推移は、今後報告することとし、今週は24日(水)から1週間、アフリカ(モザンビーク、ボツワナ)に出張予定のため、先に193号をお届けし、次回は8月初旬にさせていただきます。

 総務省のICT成長戦略の各論として、先に医療・介護と教育を紹介しましたが、施設管理、1次産業、海底資源探査などの分野にも展開が期待されています。ここで活躍するのが「センサー」です。皆さんには自動ドアでおなじみですが、対象物の位置の変化を電波の力で把握する機能を持っています。多数のセンサーをネットワークし、情報を集約・活用することで新たな業務分野が広がります。

 地下に埋設された水道管や橋梁にセンサーを取り付け、漏水や橋の歪みを検知させ、管理センターに通報する仕組みを作れば、施設を一元的に管理できます。植物工場では場内の温度や湿度をセンサーで感知させ、適切な環境となるよう空調や水の供給をコントロールできます。海底資源の探査も無人センサーと適切な通信手段の組み合わせで効率化できそうです。このほか、登下校時の子ども達の見守り、有害鳥獣の監視、地すべりの事前予測など、センサーのネットワークで対応可能な業務は多岐にわたります。先月末に訪問した長野県塩尻市では、市内にセンサー網を張り巡らし、多様な可能性を追求しています。

 新藤大臣が主唱される「G空間」の活用も大きな可能性を秘めています。地球上の様々な対象物の位置を、宇宙空間に打ち上げた測位衛星で正確に把握し、その情報を集約して活用しようとするものです。実例としてカーナビがありますが、万葉線のドラえもん電車も、今どこを走っているか、常時ホームページに掲載されています。携帯電話からの119番通報も、電波が通る基地局が把握できるもので、消防本部ではおおよその場所がわかるそうです。加入者が自らの位置の公開を承諾している場合は、ズバリその場所に急行できます。物流分野では、貨物の入ったコンテナにICタグを付ければ、世界中どこでも現在地が把握でき、輸送状況がチェックできます。

 以上、4回にわたりICT成長戦略の描く近未来の社会の姿を紹介してきましたが、ネットワークをいかに構築していくか、また、一面、プライバシーの侵害などの副作用にどう対処していくか、課題は数多くあります。例年8月末の新年度予算の概算要求締切りに向けて、これから総務省内では施設・予算の肉付け作業が本格化します。戦略の実現に資するよう私も努力していきます。

カテゴリー: 国政報告 |

国政報告(第192号)

 今週も16日(火)、19日(金)が総務省の在京当番で、17日(水)は地デジ放送の日本方式を採用頂いたアフリカのボツワナ共和国マシシ大臣が来日、新藤大臣との会談に陪席しました。今週も東京からの報告となりましたが、ICT成長戦略の各論として、今回は、教育分野を取り上げます。

 毎年、この時期は県西部6市を中心に、県内各自治体の来年度に向けた重点要望を伺うのですが、数年前、氷見市と立山町から電子黒板の普及について、国の支援制度の強化を求められました。聞くと、総務省のモデル事業で市・町内の一つの学校に電子黒板を設置したところ、教育効果が上がり、全ての学校に展開したいのだが、自治体財政の厳しい折、国の後押しが望まれるとの事。私にも、是非教育現場の取り組みを見てほしいとの熱いお話しを頂きました。

 電子黒板は略称で、総務省ではインタラクティブ・ホワイトボード(IWB)と呼んでいます。黒板の代わりの電磁的なディスプレーと誤解を受けた事もあるのですが、教室では黒板とは別に昔の壁掛けやOHPのスクリーンのような補助的役割を務めています。ただ、ICT(情報通信技術)を使うので、コンピュータの画面と同じように様々な画像や動画も見る事ができます。子ども達の勉強する様々な学科に合わせて、学習内容を深めてくれる補助教材を見せることができます。今では、クラウド技術を用いて、教科書出版会社も補助教材のコンテンツをクラウド上に用意していて、学校側は年間契約しておけば、授業の際にこれをダウンロードして使う事もできるようになっています。先生方がコンテンツを全て手づくりする手間はかからなくなっています。

 さらに、ここ数年はタブレットの開発が進み、教室で子ども達一人一人に持たせる事も可能になりました。皆で算数の筆算に取り組み、ある子どもの回答をタブレットからIWBに送信して、先生が皆にわかるようにチェックして見せる事ができます。課外学習のまとめも、子ども達がグループに分かれ、材料を持ち寄ってタブレット上で新聞形式に仕上げ、IWBに送信して皆に見せる事ができます。地方圏の学校と自動車製造工場をインターネットでつないで、IWBの画面上で自動車の組み立て現場を「見学」する試みもなされています。総務省では、こんな未来型の授業に学校単位で取り組んでもらうフューチャースクール推進事業を平成22年度から4年間にわたり展開してきました。今回の私の拙い紹介は、この事業の対象校の授業を見学した内容を綴ったものです。

 フューチャースクール推進事業の成果を踏まえ、総務省は文部科学省と協力して、中期的に全ての学校の教室にIWBを整備し、子ども達各自がタブレットを持って授業が展開できる環境を整えて行く考えです。もちろん、これまでの黒板への板書も、子ども達のノートも大切な学習手段として残ります。そこにICTの力も加えて、学びの場をより充実させる事が私たちの目標です。

カテゴリー: 国政報告 |

国政報告(第191号)

 参議院選挙の期間中ですが、11日(木)、12日(金)は総務省の在京当番で、東京からの報告となります。富山もそうですが、梅雨が明けて夏の日差しが広がっています。

 ICT成長戦略の各論で、今回は、医療・介護分野を取り上げます。5年ほど前、高岡市長を務めていた頃に、市民病院に電子カルテを導入することになりました。投薬や処方など、病院内の仕事の流れをスムーズにする事が主たる目的でした。医師・看護師さんがうまくなじんでくれるか、心配しながらも、時代のすう勢だと思いきって進めた記憶が残っています。その後、毎年一回の健康診断に出向くと、画面上に過去の数値との比較や、レントゲン撮影・エコー検査の画像が次々と示され、胃カメラの結果も写真ではなく、動画で見る事ができ、手書きカルテとの違いを鮮烈に感じました。私の高岡市民病院での健診結果はこのように電子的に保存され、過去からの推移も簡単に確かめる事ができる訳です。

 大規模な病院から導入が進められてきた電子カルテですが、大学病院に導入されると、そこを拠点に養成される新人医師は皆、電子カルテを使いこなす事になります。医師免許を取った後の臨床研修先も、電子カルテを導入した病院が選ばれ、やがて、個人開業すればその医院には電子カルテが導入されるでしょう。このようにして、医師の皆さんの中で電子カルテを使う方の割合がどんどん大きくなっているのが今の流れです。ちょうど、皆さんが誰でも携帯電話を持ち、その半分がスマホになっているのと同じ現象です。

 病院単位で導入されてきた電子カルテの情報をつないで、ネットワーク化しようというのが、総務省・厚生労働省の提唱する「医療情報連携基盤の構築」です。まさに、I(情報)とC(通信)の組み合わせ、ICTの活用で社会に貢献しようとする戦略です。もちろん、電子カルテ上の病歴は患者さんの個人情報ですから、その取り扱いはご本人の同意が前提となります。同意が取れた場合、例えばかかりつけの医院から総合病院に紹介してもらう場合、また、総合病院での手術等を終えて、医院に戻る場合に、その間の検査・診断・処方等の情報が電子的にやり取りされます。同じ検査を2度受ける必要もなく、過去の病歴からより的確な診断ができます。このネットワークに院外の薬局や介護施設も参加してもらえると、処方箋なしに医師の指示した薬が薬局でもらえ、病院と介護施設の間で利用者の健康状態が共有できる事になります。

 世界に先駆けて人口の高齢化が進む日本において、ICTを駆使した医療情報連携基盤を2018(平成30)年度までに全国規模で展開しようというのが私たちの掲げる目標です。関係者の理解を得ること、大都市圏・地方圏それぞれの特性に応じてネットワークを展開することなど、解決しなくてはならない課題も多いのですが、電子カルテが普及しつつある今を「夜明け前」ととらえ、26年度予算を含め、精力的に取り組んでいきます。

カテゴリー: 国政報告 |

国政報告(第190号)

 久し振りに富山で報告を綴っています。先週末の土・日は在京当番、1日(月)はアフリカのアンゴラから地上デジタル放送方式の調査に来日された情報通信省のサフェッカ副大臣、テタ副大臣に対応し、2日(火)朝から富山に入っています。梅雨終盤の蒸し暑さの中、路傍のアジサイの鮮やかな花を楽しみながら、参議院選挙の活動をこなしています。

 サフェッカ副大臣には4月初めのアンゴラ出張の際に、日本方式の採択をお願いしています。今回の調査が良い結果につながることを期待しています。これも、総務省のICT成長戦略の一環です。我が国の優れた技術を海外にパッケージとしてシステム売りし、国内産業の成長に結び付けようとする取り組みです。政務官を拝命して半年間、総務省の通信・放送・郵政分野を担当させて頂いて、まさに日本がICT(情報通信技術)を生かして飛躍するチャンスの時、「夜明け前」であるとの思いを強くしています。

 たとえば、ここ1、2年の間に皆さんが使われる携帯電話の半数近くがスマートホンに変わっています。これまでの携帯電話に比べ、スマホはその機能が一段とコンピュータに近付いたと言えます。パソコンで有線の通信回線を使ってインターネットを使うのではなく、スマホで無線の通信回線を使うため、この帯域の電波の使用量(通信された情報の量)は1年間で倍増の飛躍的な伸びを示しています。振り返ってみれば、20年前には固定電話だったものが、オフィスから家庭へとパソコンが普及し、皆さんが携帯電話を使うようになり、さらにスマホへと急速な変化が続いています。日本経済にとっては「失われた20年」ともいわれる同時期が、ICTにとっては変化と成長の20年だった訳です。

 さらに、パソコンの機能を手軽に持ち歩ける形に集約したタブレットが出現し、タブレットとスマホの違いは通信機能の有無だけという、コンピュータと電話の「融合の時代」を迎えました。いわば、情報(information)と通信(communication)の融合、まさにICT(情報通信技術)の時代が到来しようとしていると言えます。

 身の回りを見てみると、テレビやエアコンのリモコン、自動車の鍵など、スイッチを入れたり切り替えたりする度に、私たちは微弱な電波を使っています。鉄道で便利なICカードも、改札の読取り機との間は電波で情報をやり取りしています。高速道路のETCカードやカーナビもしかりです。このように、個々の端末の情報を通信回線でやり取りし、ネットワーク化することで、経済社会を思わぬ形で変えていくことができる、それが私たちの目指すICT成長戦略です。次回以降、個々の分野におけるICT活用の現状と展開可能性について、この半年間の経験から得たものを順次報告していきます。

カテゴリー: 国政報告 |