2022年5月

国政報告(第627号)

 先週の22日(日)、23日(月)と、党沖縄振興調査会の小渕会長に同行し、約2年ぶりに沖縄に伺いました。沖縄振興特措法の期限の10年間延長、本土復帰50周年式典等も終え、OIST(沖縄科学技術大学院大学)の開学10周年も踏まえ、経済界、県議の皆さんとの意見交換も含め、現地視察ができました。

 第2滑走路も整備され、ターミナルが拡張された那覇空港ですが、コロナウイルスの影響で、以前に比べ人込みはまだ戻り切らない印象でした。感染者数が峠を越え、観光客も徐々に増えており、夏場には修学旅行の復活も期待しているとの事でした。米軍から返還された宜野湾市の西普天間住宅跡地では、琉球大学医学部の移転工事が進捗していました。ついで、沖縄市、北中城村のキャンプ瑞慶覧のロウワープラザ住宅地区にて施設返還に先行する公園整備の計画を伺いました。日米合意に基づき米軍施設の返還を着実に進め、成果を県民が享受できるよう、個々の事業に取り組む重要性を痛感しました。那覇港湾施設の移転計画も、松本浦添市長の受け入れ決断を踏まえ、港湾計画への位置付け、防波堤の整備などを推進せねばなりません。那覇市では、3年前に焼失した首里城正殿の復元工事現場を見ました。県内外の多くの浄財も寄せられ、必要な部材の調達もめどが立ち、過日、岸田総理から11月3日の本体工事着工が発表されました。今後は復元の歩みをできるだけ一般公開しながら令和8年度の竣工を目指し、事業が進められます。新たな振興計画では沖縄の特殊事情を踏まえつつ、自立的発展と豊かな住民生活を目指して様々な施策が展開されていきますが、今回視察した基地跡地の有効利用や首里城再建など、調査会としても応援していきます。

 この間、バイデン米大統領夫妻の来日、米豪印との首脳会合(QUAD)と、東京では重要な外交日程が展開されました。QUADでは、ロシアのウクライナ侵略を念頭に、紛争は一方的に武力で解決するのではなく平和的に解決すべきであり、国際的なルールに基づく秩序を支持する旨の共同声明が出されました。党内でも、我が国の領土、領海、領空、国民の生命・財産を守るために真に実効的な防衛力を改めて検討、構築すべきと議論されています。このほか、24日(火)は3年ぶりに県市議会議長会の皆さんとの懇談会、25日(水)はOIST10周年記念レセプションに出席、27日(金)には補正予算案が衆院本会議で可決、参院に送付されました。

 週末の地元は、28日(土)、綿貫先生に出席頂いて利賀ダム建設期成同盟会総会転流工トンネル着工式が催され、その後、南砺市井波の浄蓮寺にて「共生の園」のオープニングに出席しました。29日(日)は安倍元総理、小渕先生に来県頂いての党県連政経文化セミナー党福野支部総会に出席、投票日が6週間後に迫る参議院選挙への支援をお願いしました。

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国政報告(第626号)

 先週は、19日(木)、20日(金)と党財政再建推進本部の会合が開かれ、報告書案を巡り、熱心に議論されました。事務局長の越智先生がリモート参加となったので、私が司会を務めました。2日間の討議を経て、報告書の扱いは額賀本部長一任となり、現在、最終調整が進められていますが、皆さんの意見を聞きながら、自分自身も財政運営に対する考えを深める良い機会になりました。

 平成初めのバブル経済崩壊の後、国は逐次財政出動を行い、景気を底支えし、成長を促してきました。しかし、他国に比べ、十分な成果が挙がらず、高齢化を背景に社会保障分野での給付が負担を上回って歳出が増大したこともあり、千兆円程度の債務残高(国債)を抱えるに至りました。一方、民間部門の借入過大な体質は改善し、逆に内部留保等の形で資金が溜まったものの、これが有効活用されて経済を回すには至らず、経済成長率は低水準で推移しています。

 このため、我が国の経済を成長させる上で、財政の役割はどうあるべきか、社会保障分野の給付と負担のバランスの取り方も含めて課題となっています。積極論では、より大規模な財政出動で需要を創出するとともに、民間の事業・投資意欲を刺激し、滞留している民間資金を流動化させ、経済成長を促すべきとされます。その際、国の債務が一時的に増大しても、国債が国内資金で引き受けられており、ゼロ金利の状況下では問題は生じないとされます。一方、慎重論では、内外の金融情勢は不確実なものであり、災害や感染症など予期せぬ財政出動もあり得る以上、財政運営には一定の余力と規律が必要と考えます。経済成長を促す歳出は必要で、積極論と同様、デジタル・グリーン分野での投資は欠かせないものの、過去の財政出動が所期の目的を達成できなかったことも踏まえ、「ワイズ・スペンディング(賢い歳出)」が必要との立場です。

 積極論でも、国の債務残高の発散は避けるべきとされ、中長期的な財政規律は必要と考える方が多く、基礎的財政収支(プライマリー・バランス)を目安に置くことには共通理解があります。ただ、その黒字化すべき時期について、現行通り2025年を目指すべきか、当面は期限を設けないかで、意見が異なります。概ねこのような議論の上、財政規律の在り方(目標年次を含め)は不断に吟味・検証していくべきとの共通理解に達しつつある状況だと思います。

 地元では、週末の21日(土)、高岡市伏木の曳山祭出発式小矢部市での第6回対話集会(別途報告しています。)党小矢部市連総会に出席しました。22日(日)は、参議院選挙に向けて野上浩太郎議員の事務所開きに出席し、総括責任者として必勝を期すご挨拶をしました。その後、党沖縄振興調査会の視察にて、小松から那覇に飛行機で移動しました。バイデン米大統領の来日とQUADの結果を含め、沖縄での見聞は次号で報告します。

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国政報告(第625号)

 5月も半ばとなり、通常国会の会期もあと一か月、終盤に入ってきました。コロナ・ウクライナ・物価高騰等の緊急対策関連の補正予算案が近々閣議決定、提出される状況下、衆議院では内閣提出法案があと3本となり、各委員会で議員立法案件の扱いが協議されています。参議院選挙を控え、会期延長があり得ない条件下、予算委員会の持ち方を含め、日程づくりが難しい局面です。

 連休・東北視察の後、10日(火)から永田町での活動を再開し、同日の党政調審議会に社会的事業推進特別委員会の提言案を説明、承認頂きました。社会的課題の解決を目指し、官民連携の下、企業的な視点で取り組まれている様々な活動や起業(スタートアップ)を応援する視点で、①プラットフォーム(支援組織)の充実、②資金の供給(政府系・地域金融機関の支援や企業版ふるさと納税の活用)、③取り組みの認証の検討、の3本柱を提起しました。地方創生や「新しい資本主義」の展開にも寄与する内容との評価も頂き、11日(水)には木原内閣官房副長官にも大串事務局長ほか有志の先生方と申し入れを行い、本年度の「骨太方針」への盛り込みなど、政府施策への反映を要望しました。

 昨年から引き続いて取り組んでいる地方議員の成り手不足解消のための議員立法(地方自治法改正案)についても、野党各党への説明を精力的に進めています。町村など小規模な自治体では、議員報酬が低く、兼業が当たり前という状態で、自治体からの請負が法的には全面禁止となっている現状は、有為な人材の立候補を妨げているとして、特に町村議長会から切実なご要望を受けています。政令で定める一定金額以下の請負を認める改正を提起しています。併せて、市議会議長会から提起された、災害等やむを得ない事態発生の際の議会招集日の変更手続きの明確化も行う内容となっています。昨年の通常国会では、案の準備が遅れて間に合わなかっただけに、来春の統一地方選を前に、今国会での成立に努力しています。

 13日(金)朝は北陸4県農政議員懇談会に出席しました。会長が宮腰先生から野上先生に交替となり、各県JAの皆さんから米価水準下落や燃油高騰への対応を求める声を頂きました。補正予算や、農水省の産地への働きかけなど、政府の施策が必要と考えます。

 地元に戻り、14日(土)は党高岡市連総会川田工業創業百周年記念式典夏野砺波市長の後援会に出席し、15日(日)朝の新幹線で上京、沖縄復帰50周年記念式典に参列しました。天皇・皇后両陛下が御所からリモート参加され、東京と那覇の2会場を中継しての開催、岸田総理は沖縄で出席されました。沖縄の問題には党調査会で関わっており、先の大戦の地上戦から米国の施政下に置かれ、粘り強い運動で復帰を果たされた先人のご労苦と、この50年の歩みを振り返り、より良い未来の実現への決意を新たにしました。

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国政報告(第624号)

 今年のゴールデンウィーク、まずまずの天候で、コロナウイルス対策の行動制限も無く、3年ぶりに開放感があったのではと思います。もっとも、ウクライナではロシア侵略により民間人の被害が増え、北海道の知床遊覧船の遭難者の捜索も続くなど、関係者のご苦労には頭を垂れるばかりです。以下、連休中の活動を振り返ります。

 初日の4月29日(金)は、射水市でフットボールセンター開所式富山市で県立イタイイタイ病資料館10周年記念式典高岡市で伏木赤十字奉仕団総会と行事が続きました。夕刻には党小杉連合支部総会であいさつの後、富山市で党所属県議の皆さんと国会議員との懇談会に出席しました。コロナが落ち着き、久しぶりに顔を合せてのコミュニケーションを図る場となりました。

 30日(土)の夕刻、明日の祭礼の準備を進める高岡御車山の各町内を挨拶して回りました。5月1日(日)は朝方から午後まで、あいにくの雨模様で巡行はやむなく中止されましたが、関係者は山車の組み立てなど準備作業にも意気に感じて取り組んでおられました。恒例の臨時山倉3棟ではそれぞれ絢爛豪華な山車が展示され、来年こそは完全催行を、と念じました。同日夜の南砺市福野の夜高祭りからは天候が回復して全て催行が叶い、良かったです。

 連休後半の5日(木)、砺波市のチューリップフェアを見学し、改築されたチューリップタワーや野外ステージを始め、会場内の細やかな気遣いに感銘を受けました。夕刻、南砺市城端の祭礼に伺い、4年ぶりに艶のある庵唄を聞かせてもらいました。6日(金)は高岡市美術館で「山本二三展」を鑑賞し、人気アニメ作品の背景画の繊細で情感のこもった雲の描写を楽しく拝見しました。

 7日(日)朝、小矢部市北蟹谷地区の皆様のお誘いで、遥か奈良時代に大伴家持卿も越中赴任の際に通った国境の古道を約4キロ散策しました。NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」でも描かれた木曽義仲・巴の倶利伽羅合戦の古戦場も望みながら新緑の古道歩きを満喫しました。午後には第三選挙区女性部総会があり、国政報告とともに夏の参議院選挙のお願いをしました。8日(日)は高岡市の瑞龍寺で裏千家淡交会の利休忌茶会に出席、濃茶席も久しぶりに楽しみました。夕刻は在所の高岡市定塚校下連合自治会総会に出席の後、党南砺市連合支部総会で挨拶、上京しました。

 連休明けの9日(月)、党公共交通議連の視察で宮沢洋一会長、加藤勝信代行、赤澤亮正代理ほか議員10名で宮城県南三陸町、気仙沼市に伺いました。今後の地域公共交通のあり方の議論の参考とすべく、東日本大震災で被災したJR気仙沼線を再整備したBRT(バス・ラピッド・トランジット)システムを見学し、鉄道敷地跡を専用道にしてバスを走らせる取り組みの現状を学びました。永田町を離れての11日間、多様な経験を糧に残る国会会期に臨みます。

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国政報告(第623号)

 ゴールデンウィークの真ん中ですが、ここまでは激しい寒暖の差があり、各地の祭礼の催行にもご苦労されているようです。北海道の知床遊覧船の沈没事故は、船体が発見されたものの、依然12名の方が行方不明で、捜索が続いています。船の無線が故障していたなど、運航体制には問題が多く、再発防止のための規制の見直しが必要と思います。亡くなられた方々のご冥福をお祈り致します。

 コロナウイルスが発生して3度目の5月ですが、ようやく感染予防と日常生活のバランスが好転し、この連休は以前の7~8割まで人手が回復してきたとの事です。「対面型サービス業」の皆様にも出口の明かりが射し始めていれば幸いです。オミクロン株の更なる変異も見つかっていますが、ワクチン接種の効果もあって高齢者の重症化リスクが小さくなるなど、飲食、旅行、イベントなど徐々に積極化できそうです。日常でマスクが外せる日が待たれます。

 先週は、27日(水)に衆院文部科学委員会で内閣提出の大学ファンド法案を審議、可決し、28日(木)の本会議で参議院に送付しました。世界最高水準の研究成果が挙げられる大学を育成するため、数校程度の大学に絞って資金を提供し、これを呼び水にして民間資金を導入し、自らの研究・教育のための基金を造成させようという施策を遂行する法案です。欧米では、寄附文化の違いもあり、千億円単位の基金を持つ大学があり、その運用益を潤沢な研究資金として活用する事例が増えており、我が国もキャッチ・アップを図ります。ただし、海外のトップレベルの大学では人材が国境を超えて集まっており、多様性をベースに新鮮なアイデアが生まれており、日本ではこのようなグローバル化が進んでいない特殊性があります。沖縄科学技術大学院大学は、この課題を克服している稀有な存在であり、ドイツ出身のグルース学長の下、理事会メンバーも国際的で、学内では英語で教育・研究活動が行われています。このような、運営面での改善にも取り組むことが欠かせないと考えます。

 28日には党財政健全化推進本部の会合もあり、中空麻奈先生始めアドバイザーの方々から、規律ある財政運営の必要性についてご意見を頂き、出席者で討議しました。国債の支払い利息を除いた歳出を歳入と均衡させるプライマリー・バランス(PB:基礎的財政収支)黒字化の目標は、国際的にみても緩い最低限の財政規律です。予期せぬ災害、景気変動や金利の上昇など様々なリスクに備え、機動的な財政出動の余力を貯め、為替市場での「国際的な円の信認」を維持するため、規律ある財政運営の方針を示すことが大切です。このような考え方をベースに、これまでの「経済成長と財政健全化の二兎を追う」アベノミクスが達成した成果を継承・発展させる指針を、本部としてまとめていければ、と思います。地元での活動報告は次号に譲ります。穏やかな連休を過ごされますよう祈念します。

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