国政報告(第172号)

 先週末の安倍総理の訪米で、日米間の外交上の懸案は新たな展開を見せました。事前の予想通り、日本側は普天間基地の移設問題での具体的な努力とハーグ条約への加盟を約束し、TPPについての米側の真意を探る出方となりました。首脳間の率直な会談の結果、文書で「例外なき関税撤廃をあらかじめ想定するものではない」との合意に至りました。日本側は農産物、米側は工業製品について関心が高いことも認め合いました。一方、自動車と保険の2分野については、米側が、日本のTPP交渉参加の前に協議したい旨、明確な姿勢を示しました。これを受けて、25日(月)の自民党役員会で交渉参加の判断を総理に一任する一方、総選挙時の公約は堅持する旨、内閣に申し入れました。

 この推移について、国内では様々な反応がありますが、私なりには総理訪米に際して準備が周到に進められたことで、外交的には日米関係の再構築という目的が達成されたものと受け止めています。TPPの前途は、総理が参加の意思表示を慎重に判断されるものと思いますが、一点大切なポイントは、米側が日本の参加を了承する前に自動車と保険の2分野についての事前協議が明らかに必要となったことです。この点は私が野党時代から政府に何度となく確認してきた問題で、牛肉は子牛の検査を緩和したことでクリアしましたが、残った2点の解決策は現状では未だ見えておらず、TPP交渉参加への道のりはそう単純でもないように思います。

 今週は26日(火)に補正予算が参議院で1票差で可決・成立し、28日(木)には両院で恒例の4大臣(総理・外務・財務・経済財政担当)演説があり、新年度予算の審議がスタートしました。来週の4―6(月-水)日に両院での代表質問が行われ、7日(木)以降、衆院予算委員会を舞台に本格的な論戦が始まります。例年より1か月遅れの運びとなっており、ゴールデン・ウィーク前後の成立を目指す事になりそうです。

 安倍内閣の2カ月間は、内政・外交とも堅実な歩みとなり、与党の一員としてもまずは順調な推移にほっとしています。持ち場の総務省では、経済再生のための「3本の矢」の最後の成長戦略に情報通信分野で寄与すべく、23日(金)に有識者からなるICT成長戦略会議が立ち上がり、その下で、今週は超高齢社会構想会議と放送サービス高度化委員会が開催され、出席しました。一方、見学は千葉県柏市の「柏の葉スマートシティ」で電力制御システム、ICTを活用した健康づくり、さらに千葉大学の植物工場を訪問しました。この2カ月で情報通信技術(ICT)の活用分野として、医療・教育・エネルギー・健康・農林水産業など様々な分野の可能性を実感しています。いずれも、関係者のニーズをいかにうまくとらえ、ネットワークに参加する方を増やすことで「スケール・メリット」を出し、商業ベースに乗せる事ができるかが課題であり、その解決に私自身も努力していきたいと思います。

 先週の20日(水)、今週の25日(月)と、省内の若手・中堅職員の皆さんとの語り合いも始めました。テーマは、「日本の放送番組をいかに海外に売り出していくか」「日本製の携帯電話の市場シェアをいかに取り戻していくか」の2つです。職員の皆さんの日ごろ業務に裏打ちされた的確な情報と、新鮮な問題意識に啓発されるところが大きいです。「どんな番組が必要なのか」、「携帯電話にどんな工夫が必要なのか」、それぞれ月1回ペースで話し合っていこうと思っています。参議院選挙前の6月頃を当面のゴールとして、総務省での仕事を進めていきます。

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