参議院選挙の期間中ですが、11日(木)、12日(金)は総務省の在京当番で、東京からの報告となります。富山もそうですが、梅雨が明けて夏の日差しが広がっています。
ICT成長戦略の各論で、今回は、医療・介護分野を取り上げます。5年ほど前、高岡市長を務めていた頃に、市民病院に電子カルテを導入することになりました。投薬や処方など、病院内の仕事の流れをスムーズにする事が主たる目的でした。医師・看護師さんがうまくなじんでくれるか、心配しながらも、時代のすう勢だと思いきって進めた記憶が残っています。その後、毎年一回の健康診断に出向くと、画面上に過去の数値との比較や、レントゲン撮影・エコー検査の画像が次々と示され、胃カメラの結果も写真ではなく、動画で見る事ができ、手書きカルテとの違いを鮮烈に感じました。私の高岡市民病院での健診結果はこのように電子的に保存され、過去からの推移も簡単に確かめる事ができる訳です。
大規模な病院から導入が進められてきた電子カルテですが、大学病院に導入されると、そこを拠点に養成される新人医師は皆、電子カルテを使いこなす事になります。医師免許を取った後の臨床研修先も、電子カルテを導入した病院が選ばれ、やがて、個人開業すればその医院には電子カルテが導入されるでしょう。このようにして、医師の皆さんの中で電子カルテを使う方の割合がどんどん大きくなっているのが今の流れです。ちょうど、皆さんが誰でも携帯電話を持ち、その半分がスマホになっているのと同じ現象です。
病院単位で導入されてきた電子カルテの情報をつないで、ネットワーク化しようというのが、総務省・厚生労働省の提唱する「医療情報連携基盤の構築」です。まさに、I(情報)とC(通信)の組み合わせ、ICTの活用で社会に貢献しようとする戦略です。もちろん、電子カルテ上の病歴は患者さんの個人情報ですから、その取り扱いはご本人の同意が前提となります。同意が取れた場合、例えばかかりつけの医院から総合病院に紹介してもらう場合、また、総合病院での手術等を終えて、医院に戻る場合に、その間の検査・診断・処方等の情報が電子的にやり取りされます。同じ検査を2度受ける必要もなく、過去の病歴からより的確な診断ができます。このネットワークに院外の薬局や介護施設も参加してもらえると、処方箋なしに医師の指示した薬が薬局でもらえ、病院と介護施設の間で利用者の健康状態が共有できる事になります。
世界に先駆けて人口の高齢化が進む日本において、ICTを駆使した医療情報連携基盤を2018(平成30)年度までに全国規模で展開しようというのが私たちの掲げる目標です。関係者の理解を得ること、大都市圏・地方圏それぞれの特性に応じてネットワークを展開することなど、解決しなくてはならない課題も多いのですが、電子カルテが普及しつつある今を「夜明け前」ととらえ、26年度予算を含め、精力的に取り組んでいきます。