7月24日(水)から31日(水)まで、地デジ放送の日本方式を採用頂いた南部アフリカのボツワナ共和国での放送開始式典出席のため総務省の用務で出張してきました。併せて、モザンビーク共和国にも日本方式採用の働きかけのため出向きました。4月の時と同様に、香港・ヨハネスブルグ(南アフリカ共和国)を経由し、飛行機の乗り継ぎ時間を入れて丸1日づつかけての往復です。ただ、先方は南半球で、季節が冬だったため、気温は暑くても20度後半で、朝晩は冷え込み、空気が乾いていたので、快適でした。再び蒸し暑い東京の空の下、明日からの臨時国会(第184国会)を前に、今回はアフリカ出張報告を綴ります。
25日(木)にモザンビークの首都マプトに到着し、ペレンベ科学技術大臣、レベロ運輸通信副大臣、イングレス運輸通信次官ほか政府関係者と面談しました。モザンビークはいったん欧州方式採用を閣議決定したのですが、森田前政務官始め日本側の働きかけで、日本方式による試験放送を今春から実施しています。6月に横浜で行われたTICAD-V(アフリカ開発会議)の際、来日されたゲブーザ大統領に安倍総理始め日本側から働きかけた経緯も踏まえ、試験放送を踏まえた日本方式の評価や技術研修の実施を提案しました。日本方式の長所は、テレビのみならず、携帯電話でワンセグ放送やデータ放送が同時にでき、電気が供給されていない地方部でも携帯端末さえあれば、情報を行き渡らせる事ができる点です。先方もこの事は理解が進んでおり、当方の提案を政府部内で検討するとの答えを頂きました。
モザンビークでは、農業・物流分野等、日本の経済協力が行われており、日本企業による天然ガス、石炭、植物油、木質チップ加工等のプロジェクトも展開されていることから、我が国との関係を重視しています。引き続き、同じポルトガル語圏であるブラジルとともに、採用に向けて努力していきます。マプトはインド洋を臨む落ち着いた街で、海産物はイワシ、エビ、イカ、タコなど日本と同じです。赤みを帯びた土と水色の海、南半球の冬なので北寄りから昇る太陽が印象に残りました。
27日(土)にマプトからヨハネスブルグを経由し、ボツワナの首都ハボロネに入り、29日(月)の放送開始式典、30日(火)の共同作業部会冒頭挨拶に臨みました。高地に位置するハボロネは、周囲に草原と低木が拡がる街ですが、4月は一面緑だった風景が、今回は冬らしく一面茶色に変わっていたのが印象的でした。担当のマシシ大統領府大臣とは、東京での会食以来僅か2週間での再会となり、今後地デジ移行の実務を担当されるモレフィ運輸通信大臣ともゆっくり話す機会が取れました。
式典は、ケディキルウェ副大統領出席の下、SADC(南部アフリカ開発共同体)諸国のコンゴ、ザンビア、マラウィ、モザンビークからも大臣・副大臣等が陪席する中で開催され、私も日本政府を代表して、採用頂いた日本方式によるスムーズな地デジ移行の実現に最後までしっかり協力する旨、挨拶で誓いました。ボツワナでこれから始まる具体的な取り組みは周辺のSADC諸国も注目しています。ここで成果を挙げ、アンゴラ、モザンビークなどでの日本方式法採用、さらには南部アフリカ諸国とのICT分野での協力関係構築につながれば、という思いの中での「第一歩」を踏み出す出張となりました。冬晴れのハボロネの爽やかな空気を胸に刻み、同行頂いた総務省職員の皆さん、支援頂いた外務省大使館の皆さん、そしてこれからの具体的な協力作業に携わられるNHK始め民間の皆様に感謝しながらの出張報告とします。