師走も半ばを過ぎ、今年も後僅かです。昨年の総選挙から1年が過ぎ、第二次安倍内閣の下で、先週は新年度税制改正案、今年度補正予算案が決定され、来春の消費税8%引き上げへの対応がまとまりました。さらに、今週は新年度予算案の編成作業が進められており、党の政務調査会の各部会も開催されるため、もう一週間東京に残っています。
政権の当面する課題について見れば、景気を持続させながらの財政再建の点では、株価が1万5千円台後半、円が1ドル104円台の水準で、日銀の短観の結果や来年度の税収見通しも良く、まずは巡航速度で進んでいる印象です。気になる点は、貿易赤字が拡大している事で、エネルギー面での対策が必要と思います。この点を含め、焦点と言える課題は、沖縄の普天間基地移設、TPP交渉、原子力発電所の再稼働審査、そして近隣諸国との外交関係と見ています。このうち、辺野古沖の埋め立て申請への沖縄県知事の判断が年内に予定されています。その他については、平成26年に引き継がれていきます。猪瀬知事の辞任を受けての東京都知事選も新年の政治日程に乗ってきました。通常国会は来月24日召集との事、国政の更なる前進に向けて努力していきます。
さて、18日(水)、19日(木)と、衆院東日本大震災復興特別委員会の委員長・理事等にて福島・岩手・宮城三県に出張し、現状を調査してきました。初日は、福島第一原発に入りました。関係者の懸命の努力で一歩一歩、原子炉の廃炉と事態の収束に向けての作業が進められています。東京電力福島復興本社が置かれている楢葉町のJヴィレッジで説明を受け、大熊町・双葉町に位置する原発に入構、免震重要棟で所長さんほかスタッフにお会いした後、作業員の方々と同じ防護服やマスクを身につけて構内をバスで見て回りました。途中、汚染水から放射性物質を取り除く装置(ALPS)と、汚染水の海への流出を防ぐ遮水壁の建設現場では、下車し、実物を見る事ができました。事故当時から見れば、構内の空間線量は格段に下がったとはいえ、一番高い所では「毎時1140マイクロ・シーベルト」と、通常の1万倍近い値を示しています。これを下げて行くには、水素爆発等で飛び散ったガレキの除去、そして炉内で溶融した燃料を取り除かなければなりません。もちろん、各号機に置いてある使用済燃料の搬出も廃炉には必要です。
マスクは、しっかり被った事もあり、身につけて1時間で頭が締め付けられる痛みを感じました。また、夏場の防護服を着ての作業の厳しさも偲ばれました。改めて、作業に関わっておられるスタッフの皆さんのご苦労を想い、事象が全体として着実に前進している手応えを、広く皆さんに伝えなければ、との思いを強くしました。作業を進めれば、線量は下がり、汚染水の濃度も下がります。また、身体をガードする必要性も低くなり、作業許容時間も伸びて行きます。一つ一つの手順を安全第一に進めて頂き、周囲への住民の立ち入りや帰還が可能になる日が1日でも早まるように、と願いながら、発電所を後にしました。
二日目は、津波災害からの復興に向け、市街地の嵩上げや区画整理事業に取り組む岩手県陸前高田市と宮城県気仙沼市を訪問、鳥羽市長、菅原市長始め皆様から、状況説明と国への要望を聴きました。事業遂行のためには、地権者である住民の理解と合意が欠かせず、多様な意見をいかに集約していくか、首長経験を共有する私も両市長の悩みに共感したところです。被災自治体の背中をうまく押してあげる観点での復興制度の運用が復興庁の課題と言えます。
2日間、現地を見せて頂いた貴重な経験を、今後の委員会活動に反映させて行きます。