国政報告(第333号)

 通常国会を終え、梅雨晴れの富山で参議院選挙の応援活動に入っています。それに先立ち、2日(木)は東京で県人会の百周年記念式典に出席し、3日(金)に富山に戻りました。4日(土)は第三選挙区女性部総会、5日(日)は党氷見市連総会射水市作道支部総会に顔を出しました。6日(月)、7日(火)と再度上京して残っていた各省庁からのレクをこなした後は、県西部でのあいさつ回りを中心に活動しています。

 消費税増税の平成31(2019)年10月までの延期についての安倍総理の決断については前号で触れました。平成32(2020)年度予算のプライマリーバランス黒字化の財政再建目標は堅持するとのことで、景気浮揚を最重点に、歳出は見合いの歳入に応じて執行していくことが基本になるものとみています。当面、一億総活躍社会実現に向けた、保育士・介護士の給与水準の改善について、安定財源を充てる事が急務です。秋の臨時国会に向けて作業が進む経済対策・公共事業についても、必要な財源の検討が必要です。

 総理は、アベノミクス三本の矢(金融緩和、財政出動、成長戦略)をさらにふかして、国際経済の落ち込みリスクに立ち向かう考えを表明されましたが、その中で私が懸念するのが、日本銀行の「異次元の金融緩和政策」の持続可能性です。日銀は3年前の平成25年春、黒田現総裁の就任とともに、消費者物価上昇率を2%台に押し上げ、我が国経済をデフレ状態から脱却させるため、「異次元の」金融緩和策をスタートさせました。その主力は、国債を年80兆円のベースでの買い入れです。これで、市中にお金をふんだんに供給し、その大半は金融機関の日銀への預金で戻っているものの、長短金利を低めに誘導し、民間企業の投資を促す姿勢を鮮明に打ち出してきました。これと国の補正予算(財政政策)、規制緩和等の成長戦略が有機的に作用し、為替や株の相場を劇的に改善し、景気浮揚と雇用創出、賃金引き上げを実現してきたのがアベノミクスと呼ばれる経済政策です。

 一方、原油を中心にエネルギー価格が思いのほか低迷し、少子高齢化の下で国内消費が盛り上がりづらいことなどを背景に、消費者物価上昇率は0%台前半に留まっています。このため、日銀は「追加緩和」として、今年初めからは「マイナス金利」まで導入しています。この間、日銀の国債保有高は逐次増加し、直近の平成28年5月末では370兆円に達しています。来年5月には450兆円、再来年5月には530兆円、と機械的に計算できるのですが、そのように買い進めば、「国債の中央銀行引き受け」という問題が生じてきます。これでは、国の借金を中央銀行がお札を刷って引き受けている事態と見なされかねず、早晩、日銀の買い入れはストップせざるを得なくなると思います。その際に、「三本の矢」をどのように再構築するのか、政策判断を迫られるタイミングは、消費税引き上げの前に到来してしまうのではないか、この事を心配している所です。この懸念は、5月31日(火)の党政調全体会議で発言しています。来週以降も、この半年の政務調査会での活動を土台に、様々な政策テーマについてお伝えしていきたいと思います。

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