7月に入り、晴れ間には日差しが強く、夏が近づいてきたと実感する中、参議院選挙の運動期間も後半戦に入ってきました。
今回は、私が座長、小泉議員が事務局長となって活動してきた党財政再建特命委員会の「2020年以降の経済財政構想小委員会」の議論から、5月に3度検討した「働き方」に関する各論の内容を紹介します。少子高齢化を伴う人口減少局面に入った我が国では、特に地方圏において経済指標が今までと異なる動きを示しています。景気が過熱しているわけではないのに、27都道府県全てで有効求人倍率が1倍を超え、業種によっては人材難で事業継続を危ぶむ声まで上がっています。労働市場の供給ひっ迫は、当面変わらないトレンドであろうと思われ、このことを前提に、これから社会参加していく若者の働き方の変化と、必要な政策を議論しました。
最近、企業の寿命は短くなり、個人の職業寿命は延びる傾向にあります。就職した会社で定年まで勤め上げるというスタイルが必ずしも主流ではなくなっています。また、労働力不足への対応として、外国人労働者を別とすれば、女性や高齢者の役割が期待される一方、子育てや介護との両立や「ワーク・ライフ・バランス」をどう作り上げていくかが課題となっています。企業の社員という形態のみならず、スペシャリストとして自営、起業する生き方もあり、従前の「職人」という働き方も見直されるべきです。「多様性=ダイバーシティ」は、労働分野でも今後のキー・ワードと言えそうです。
すでに、大企業では採用時に学生時代に起業経験のある学生を評価する傾向にあり、30代で起業する方が増えている一方、教育の現場では、起業のチャンスを生かして踏み出す意欲を持つ若者を充分育てきっていないとの批判もあります。女性の妊娠・出産時の離職を反映する「M字カーブ」の解消、高齢者の労働意欲を高める雇用制度づくりが必要で、労働生産性・資本生産性を向上させるためにも労働時間の短縮が求められます。
小委員会の中間とりまとめでは、「10代のうちから仕事や起業という道もあれば、大学卒業後すぐに就職しないという選択もある。転職を重ねるのも、学び直しをするのも当たり前。いつだって子育てや家族のケアを最優先できる。何かに失敗したとしても、何度でもチャレンジできる。」と呼びかけています。複線的な働き方のモデルを作り、新卒一括採用から、経験者も含む随時採用へと弾力化すること、企業内で総合職と専門職、正社員と非正規社員の処遇格差を縮めること、副業を解禁すること、1歳時までの育休制度を充実すること、など、社会の雇用慣行を変えていく必要があります。
そのために、政府も、雇用保険・厚生年金の適用対象を拡大すること、職業教育・職業訓練の内容を見直すこと、育休制度を拡充することなど、制度を変える取り組みが必要となります。このことによって、労働生産性が向上し、経済が活性化するとともに、失業等の社会保障コストを低減させて、結果として財政再建につながれば、という思いで、参議院選挙後に提言をまとめたいと考えています。