参議院選挙も終盤戦、時折、夏の前触れのような日射しが照る中、活動を続けています。途中、3日(月)には庄川左岸排水対策協議会に出席しました。前職の高岡市長時代から関わっている事業で、砺波・小矢部・南砺・高岡4市に及ぶ「となみ野」の農業用排水路を改修し、途中に調整池も設け、農業と住民の生活を支える基盤を総合的に整備するものです。附帯の県営事業も、一期、二期と進んで、来年度は三期に入る要望がなされています。平成21年度の着工以来、公共事業抑制の厳しい環境下ではありましたが、国営農地防災事業として着実な進捗が図られ、完成のめどが立ちつつあります。社会資本整備について色々な意見がある中、本事業はその効果を十分に主張できるものだと思います。
ここ数回、前国会の政務調査会での議論の中からトピックを選んで紹介してきましたが、最後となる今回は、内閣の消費税先送りの決断を受けた今後の財政運営の課題を述べようと思います。これは、秋の臨時国会においても、TPP批准案件と並んで論戦の主要テーマになるものと思います。
昨年の6月、党の財政再建特命委員会の議論を踏まえ、政府は2020年度までの財政再生計画を、骨太方針の一部として閣議決定しました。リーマンショック後の最悪期の10年度(西暦)のプライマリーバランスの赤字幅を15年度には半減できたことを基礎に、今後5年間で、平均3%の経済成長、消費税の10%への引き上げ、高齢化に伴う社会保障費の自然増抑制を核とする歳出改革の3つの手段の組み合わせにより、赤字を解消することとしました。今回の消費税増税の19年10月への先送りの決定は、当然、計画の進捗を遅らせる効果がありますが、最終年度の20年度には増税効果が十分に発現することから、計画の枠内で増税実施を可能な限り最大限遅らせたとも解釈できます。
このため、計画で予定している18年度の中間点検時は、増税効果が無いため、赤字幅の縮減は厳しい状況になるものの、成長政策と歳出改革は計画に定めた通りに取り組めば、20年度の目標達成は可能な現状にあると言えます。従って、新年度予算編成に際しては、計画に定めた工程表通り、社会保障費の自然増の抑制策を実行していかなければなりません。自助・共助・公助の精神で、負担能力のある方には応分の負担をお願いし、真に困窮されている方へのセーフティ・ネットをしっかり張っていくという基本理念で、医療・介護・年金など各分野の制度の見直しを具体化しなければなりません。その際、2020年経済財政構想小委員会からの提言・発信も期待されるものと思います。一方、保育士・介護士の処遇改善など新たな政策実現のための財源は、原則として消費税以外の手段で用意しなければなりません。秋にも期待される経済テコ入れのための補正予算の財源も同様で、昨年度の税収の上振れ分が少なくなっているだけに、財源確保には工夫が必要になりそうです。
また、日本銀行の「異次元の」金融政策も、市場への資金供給量が400兆円を超え、「出口」の議論開始が必至の状況になりつつあります。財政再建に向け、絡み合う政策課題をどう整理・解決していくか、今後の内政の焦点の一つだと思います。