国政報告(第736号)

 本号は、海江田衆院副議長の中国訪問団の一員として22日(月)から26日(金)まで訪中させて頂いた報告です。立憲民主党の神谷議員、日本共産党の穀田議員とともに、超党派の構成でコロナウイルスの影響で令和2年から途絶えている全国人民代表大会(全人代)との議会間交流の復活を呼びかける目的での訪問でした。

 22日、羽田から空路で北京に入り、早速、夕刻に全人代常務委員会の趙委員長、肖副委員長と相次いで会談しました。議会間に限らず、あらゆる分野で交流が細っていた両国ですが、私たちのほか、武見厚相、森山党総務会長と今月は訪中が相次ぎ、機運の高まる中での会談でした。岸田総理も昨年11月に習主席、今年5月に李総理と会談、両国の「戦略的互恵関係」を再確認し、政治的指導力をもって建設的、安定的な関係を構築する旨、合意しています。議会間交流も再開すべく必要な手続きを進めていくことで一致しました。

 最近の両国間の懸案として、海江田副議長から、中国での邦人拘束、東シナ海情勢、ALPS処理水放出に伴う水産物等の輸入規制、短期滞在ビザの問題を挙げ、ビジネス環境を含め関係改善の取り組みを求めました。中国側は、平和共存、友好協力の基本的方向に沿って共通の利益を追求すべきとし、諸課題について話し合いを深め、解決していく姿勢を示しました。処理水については科学的見地から両国の実務者協議を進めること、ビザ免除については相互主義に基づきお互い努力しようとの回答でした。両国の文化、政治体制の違いを認め合った上、幅広く相互理解の醸成に取り組もうとの呼びかけがあり、青少年を含めて交流拡大の想いで一致しました。

 23日(火)、中日友好協会役員、金杉中国大使との面会を済ませて空路、陝西省西安市に入りました。西安は歴史を辿れば唐の都、長安であり、万葉集の昔に遡って、両国間関係の源流の地とも言えます。省人代常務委の庄副主任との会食の席で、717~770年の長きにわたって唐で過ごした阿倍仲麻呂の歌、「天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも」(古今集406番)を紹介し、朗唱する機会を得ました。

 24日(水)は近郊の秦始皇帝の兵馬俑(よう)、唐玄宗の華清宮、長安の城壁など歴史的な故地を案内頂き、25日(木)はBYDの自動車製造工場を見学しました。自動車産業に参入してわずか20年余りで急成長し、運行性能の高い電気自動車を量産しています。その研究開発意欲には学ぶものがありました。同日夕刻、空路上海市に入り、市人代の黄主任と会談、26日に上海虹橋街道起草立法連絡点を訪問して法律・条令制定時に国民の意見を前広に聴取する制度を導入した旨、説明を受けました。最後に赤松総領事から現地事情を伺い、「百聞は一見に如かず」、6年ぶりの中国の変化を肌で受け止め、交流の大切さを痛感して帰国した次第です。

カテゴリー: 国政報告 パーマリンク