国政報告

国政報告(第199号)

 15日(日)と16日(月)の連休が在京当番となり、宿舎で各省庁の概算要求資料を読んで過ごしていたところ、台風18号が発達を続けながら本土に上陸、気象庁から京都・滋賀・福井等の府県に大雨特別警報が出る事態となりました。テレビでは京都・嵐山を始め、各地の河川増水・浸水の模様が報じられ、被害は広範囲にわたりました。関係の皆様にお見舞い申し上げます。自治体の避難勧告等、対策も手厚かった事もあり、人的被害は最小限に留まったようです。総務省に登庁するまでには至らず、当番明けとなりました。

 これに先立つ14日(土)、JR城端線新高岡駅の起工式に出席しました。平成16年末、富山・金沢間の着工が決定する際、新幹線新駅の位置を数百メートル西に移して城端線と接続する形を高岡市役所から要請し、県・国のご理解を得る事ができたのが、今日につながっている訳です。挨拶では、関係者の一人として、御礼を申し述べるとともに、一日も早く城端線に「ピッカピカ」の新車両が投入されるよう、また、高岡駅での城端線・氷見線直通化の実現を、堂故参議院議員と一緒に頑張っていくことを誓いました。新幹線開業まで、あと1年半。多くの乗客が行き交う姿が現実のものとなるよう、地域として「おもてなし」の努力も大切ですね。

 17日(火)の夕刻に再び上京し、総務省の用務を中心に過ごしています。今月末に副大臣・政務官の一部交替が予定されており、ともかくも、この9か月の業務に一定のまとめを付けようとしています。18日(水)は、モザンビーク大使館を訪問し、マラテ大使に地デジ日本方式の採用に向け、本国への働きかけをお願いしました。私たちの7月末の現地訪問の後、8月には自民党の日本・AU友好議員連盟の国会議員の皆さんが訪問下さり、波状的な働きかけを行っています。近い将来の採用決定を期待したいものです。同日午後、省内で私が主催した「電子政府研究会」のメンバーと厚生労働省の課長ほか皆さんで、都内の飯田橋公共職業安定所と日本年金機構の千代田年金事務所事務センター(有明に所在)を訪問しました。雇用保険と年金に係る諸手続きの電子化に取り組んでおられる最前線であり、システムをどのように改善すれば職員の皆さんの事務処理の負担が軽減されるかという視点から多くの「気づき」がありました。

 7月から2か月間、職員の皆さんと精力的に取り組んだ成果は、19日(木)、遠藤政府CIO(内閣情報通信政策監)に報告・提言しました。役所の能率が上がり、国民・企業の行政手続きがスマートになり、経済成長にも寄与できる「ICT先進国」に日本が成長していけるよう、現場に立脚した不断の努力が必要です。

 同日夕刻、おそらく現メンバー最後の政務官会議が官邸でありました。20日(金)は、ICT街づくり事業に取り組む静岡県袋井市を半日訪問します。9月末の節目に向けて、全力投球で進みます。

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国政報告(第198号)

 9月も半ばに近づき、東京も暑さが和らいで秋の気配が漂っています。先月末から月初にかけ、富山では局所的な豪雨に見舞われ、関東では竜巻の被害もありました。地球温暖化が原因と言われていますが、被害に遭われた方にお見舞い申し上げるとともに、警戒情報の適切な伝達など、努力が必要と感じています。

 さて、一週間の休暇をお許し頂き、家族四人でイタリアを旅行してきました。天候にも恵まれ、歴史と自然の素晴らしい風景を目に焼き付け、良い思い出を作る事ができました。今週から総務省の業務に復帰し、国政報告も続けて参ります。特に、8日(日)未明の2020年オリンピックの東京開催決定は嬉しい知らせでした。これからの7年間、国として取り組む大きな目標がはっきりした訳で、素晴らしいスポーツの祭典となるよう、様々な努力を積み重ねる、その過程自体が、日本を元気にしていくものと思います。

 私の今週の動きは総務省での活動が主体で、12日(木)に年1回恒例の、電波産業会のメーカー各社のトップの皆さんとの懇談会がありました。省が掲げるICT成長戦略を製造・システム開発分野で実現していく大切なパートナーの皆さんで、医療、教育、インフラ管理、G空間、4K・8Kテレビなど、戦略で重点的にICT(情報通信技術)の活用に取り組む際に、様々な製品やシステムを供給頂く事となります。こちらからは、局長・審議官が出席し、8月末の概算要求に盛り込んだ施策や、3年に一度の電波利用料の見直しの考え方、研究開発の方針などを説明しました。トップの皆さんからは、オリンピック開催決定を歓迎しつつ、祭典運営にICT技術を活用すべきとの意見があり、ICT成長戦略の着実かつ迅速な実行や、情報セキュリティ対策、ビッグ・データ利用ルールの早期策定等も求められました。国の経済指標が上向き、景気の先行きに明るさが見えてきた中、メーカーに皆さんの前向きな姿勢に元気づけられる会合でした。人材育成や女性の能力活用にも話が及び、理系女子がもっと増えて欲しいとのお話しもありました。

 12日の夕刻、省内の電子政府勉強会の最終回を開催しました。勉強会の詳細は196号で報告しましたが、国民の皆さんに便利だと感じて頂け、経済活動をより円滑に低コストにする視点で、電子化に重点的に取り組むべきとの認識を一同持ったところです。併せて、業務改善の視点で、システムの統合や紙の減量化など、個々に取り組む課題もあります。最終回は、メンバー全員が感想を発表しあい、6月下旬から2カ月半、精力的に取り組んだ会のまとめとしました。参加頂いた職員の皆さん、また、他省庁から説明に来て頂いた皆さんに厚く御礼申し上げます。今後、政府CIO(内閣情報通信政策監)に報告・提言をする予定です。

 10日(火)には、立川市にある自治大学校を訪問しました。高岡市勤務の折、自治体職員の研修施設としてその存在は知っていたのですが、見るのは初めてでした。ちょうど、新たな研修コースが開講した日で、氷見・高岡市役所から参加された方や、以前から研修中の富山県庁の方にもお会いすることができました。講義も拝見しましたが、研修に励む自治体職員の皆さんの真剣な雰囲気が印象的でした。泊まり込み研修なので、自治体の枠を超えたネットワークもできる由、そんな場を提供する事も、総務省の業務の一端です。来週も、総務省の持ち場で頑張っていきます。週末は在京当番です。

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国政報告(第197号)

 8月も最終週となり、霞ヶ関の各省庁では26年度予算の概算要求案が取りまとめられています。総務省でも「ICT成長戦略会議」の提言に基づき、医療、教育、資源探査、G空間、4K・8Kテレビの開発など施策が目白押しです。29日(木)の自民党総務部会での説明の後、財務省に提出となります。

 一方、富山では23日(金)の集中豪雨で被害が出ており、関係の皆様にお見舞い申し上げます。昨年、大きな被害を出した高岡市の地久子川は、この間の災害対策と消防関係者の迅速な対応で軽微な浸水被害に止まりました。改めて、ハード・ソフト両面の減災・防災対策の大切さを認識しました。

 25日(日)には福光南部( 太美山、東太美、西太美、広瀬館の4地区 )で国政報告会を開催させて頂きました。また、28日(水)には島根県選出の青木一彦参議院議員(党水産部会長代理)の来県を得て、射水市の海老江、金山の2地区で党の「ふるさと対話集会」を持つ事ができました。4年前の野党転落以来、地域の皆さんの様々な声を直に聴き、政策に生かしていく運動に党として取り組んできましたが、与党に転じても継続していく方針です。私にとっては参議院選挙をはさんで久し振りの「双方向」の意見交換でした。地域の基盤整備に関わる要望はもちろんですが、「福島第一原発の汚染水処理を急ぐべき」、「消費税増税で景気は大丈夫か」、「海水温上昇への対策は」、「TPPの水産分野への影響は」などなど、国政全般に関わる意見・質問にはっとさせられる場面も多々あり、地域に密着した活動の意義を痛感しました。

 総務省では、概算要求案の説明を受ける一方、本年5月4日に開局した日本郵便の川崎東郵便局を見学しました。我が国発着の船便郵便物と我が国到着の航空郵便物を一手に引き受けるほか、神奈川県東部地域の国内郵便物の区分事務も受け持つ全国3番目の最新鋭マンモス局で、局員は1300人だそうです。国際郵便物を扱うことから、横浜税関の出張所も置かれ、有害物品探知のために麻薬犬も活躍しています。何より、6階建ての大きな建物にフロア毎に区分機や作業場が機能的に配置され、スタッフの皆さんのさわやかな挨拶が印象的でした。最近の円安の下、海外向けの船便郵便物は昨年比2割程度増加し、日本郵便(株)の業績にも寄与しているそうです。また、競争力が劣る船便郵便から撤退する国が増えており、日本が中継地となるケースが増えており、この分野の「ハブ機能」は我が国が担いつつあるようです。いつもの事ながら、現場は「百聞は一見に如かず」です。富山でも東京でも、歩いて自分で見聞きする活動を怠らないように、と思います。

 私事ですが、来週一週間は、数年振りの家族旅行にて休む事、お許し下さい。198号は9月13日(金)頃の予定です。

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国政報告(第196号)

 残暑お見舞い申し上げます。高知県四万十市で連日40度を超える猛暑となる一方、山陰や東北では、「かつて経験したことのない大雨」で土砂崩れ等の被害が発生しました。関係の方々にはお見舞い申し上げます。在京当番で過ごした旧盆、15日(木)に武道館で催された戦没者追悼式典に初めて参列させて頂いたほか、出歩ける23区の範囲内で東京の下町の風情など楽しみました。

 いったん富山に戻り、21日(水)に再び上京、総務省でも概算要求はもとより、この秋に取り組む課題の打ち合わせを始めています。22日(木)は午前にNTT武蔵野研究開発センター、午後に三鷹市のICT街づくり推進事業と二か所を見学してきました。NTTでは、従来の電話に係る分野から広く情報通信全般、さらにはそれを受け取る人間の脳や神経の作用に至るまで、幅広く研究開発が進められています。自社のサービス向上に役立てられているのみならず、他業種と連携した製品開発も進められていて、研究員の皆さんから意欲的な説明を受けました。三鷹市では、清原慶子市長が率先され、災害時の帰宅困難者や要援護者対策を念頭に置いて平時からICTを生かしたネットワーク構築を進めています。JR三鷹駅周辺のWiFiエリア整備や、要援護者とサポーターとなるNPOの皆さんを操作しやすい端末でネットワークする取り組みなど、「人と人のつながり」を基盤に置いてICT街づくりを進める姿勢に感銘を受けました。このような一つ一つの取り組みが、総務省の掲げる「ICT成長戦略」の実現につながるものと思います。

 一方総務省内では、戦略の重要な柱である「電子政府」をいかに実現していくかという問題意識で、7月から職員の皆さんと勉強会を開催しています。国民や企業・団体の皆さんが、国や自治体の様々な手続きをよりスムーズに行えるよう、また、官側では業務を効率化し、かかるコストを少なくできるよう、ICTを活用したシステムづくりを進めようという取り組みです。ワン・ストップ、ペーパー・レスなど様々な効果が期待できる半面、何から手を付ければ良いのか、また、民側にメリットの大きい取り組みは何か、など具体的な進め方は必ずしも明確になっていない状況です。そこで、現に先行的に稼働しているいくつかの事例を対象に、参考とすべき事、解決すべき課題を明らかにしようと取り組んでいます。

 例えば、年一回の確定申告では、国税庁のシステム、「イー・タックス」を利用し、半数近くの方が電子申告されています。国(税務署)と自治体では、所得等の電子化されたデータを受け渡しし、再度打ち込む作業を省いています。さらに、自治体側も「エル・タックス」というシステムを構築し、企業の給与支払い台帳や償却資産台帳の提出の電子化を進めています。ここから先は、企業の人事・経理担当者の方にもデータの電子化に協力頂かなくてはならず、さらには企業向けソフトウェアのアウトプット項目に組み入れてもらう事も必要です。そうなってくると、企業側では、社会保険や労働保険も含めて手続きの電子化を望まれる事になるでしょう。このようにして、税・保険料の申告・賦課・納付の電子化を官民が協力して進め、お互いにメリットを享受していくことが大切だと感じています。経済・社会の様々な側面で、ICTを活用する、そんな思いで職務に当たって行こうと思っています。

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国政報告(第195号)

 3日(土)に北陸地方がようやく梅雨明けしたとのこと、今年の夏はからっと晴れる日が少なく、東京も湿度の高い日が多い状態です。6日(火)などは朝8時に夕立ちのような強い雨と雷があり、宿舎から会館に行く時間を遅らせたりしました。そんな中、臨時国会(第184国会)は2日(金)から7日(水)までの会期で開催され、参議院の新しい体制を決めて閉会となりました。初日には、堂故参議院議員も初登院され、会館の事務所も「店開き」となり、一緒に仕事をしていく体制が整いました。

 今国会では実質的な審議は行われず、この後は8月末締め切りの新年度予算概算要求の作業が佳境を迎えるほか、秋に予定される臨時国会に向けて提出案件を練る事となります。私にとっては、与党に転じ、政府の一員として初めて迎える夏ですが、9日(金)から18日(日)の旧盆の間、在京当番を引き受け、東京で「充電」する事になりました。国政報告も、来週は休ませて頂くとして、当面の国政上の課題と総務省での取り組みを整理しておきます。

 内政では、来年4月に消費税を5%から8%に引き上げる計画を実行するか否かの判断時期は9月とされています。このため、予算の歳入・歳出規模が固まらず、当面、既定経費は1割カットで要求し、成長戦略に資するものは別枠要求となります。人口の高齢化が進展する中、年々増大する社会保障費をいかに抑制し、成長戦略の実現に必要な「未来に向けての投資」を確保するかが予算編成上の課題です。併せて社会保障制度について、国民会議の議論を踏まえて制度改革を設計・提案しなければなりません。エネルギー分野では、通常国会最終日に廃案となってしまった電力供給制度改革法案の成立を期し、段階的に自由化を進める一方、エネルギー源の新たな構成を定め、原子力発電所の再稼働問題にも答えを出さなければなりません。これを踏まえて、地球温暖化に対処すべく、二酸化炭素排出量の抑制目標を再構築する事になります。

 このほか、東日本大震災からの復興、安全保障体制の強化、普天間基地の移設、国家公務員制度の改革、衆議院の定数是正などの案件がありますが、ここは「ステップ・バイ・ステップ」で、向こう2-3年の間に腰を据えて着実に解決していく事が大切で、拙速に取り組む事のないように、と思います。外交面では、TPP交渉に国益を守る立場で臨む事、さらに中国・韓国との首脳レベルの意思疎通を図り、国際社会において我が国の役割をしっかりと担っていく事が課題です。この点、安倍総理を先頭に閣僚の皆さんが積極的に海外出張されている事は、日本のプレゼンスを高める上で効果的だと思います。

 総務省での私の持ち場では、ICT成長戦略を実現するための新年度予算づくり、かんぽ生命の学資保険改訂認可のための業務体制確立、南部アフリカ地域での地上デジタル放送日本方式の採用を主たる課題と位置づけ、引き続き取り組んでいきます。次回は、その一環としてここ1-2か月精力的に取り組んできた「電子政府」の勉強会について報告したいと思います。

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国政報告(第194号)

 7月24日(水)から31日(水)まで、地デジ放送の日本方式を採用頂いた南部アフリカのボツワナ共和国での放送開始式典出席のため総務省の用務で出張してきました。併せて、モザンビーク共和国にも日本方式採用の働きかけのため出向きました。4月の時と同様に、香港・ヨハネスブルグ(南アフリカ共和国)を経由し、飛行機の乗り継ぎ時間を入れて丸1日づつかけての往復です。ただ、先方は南半球で、季節が冬だったため、気温は暑くても20度後半で、朝晩は冷え込み、空気が乾いていたので、快適でした。再び蒸し暑い東京の空の下、明日からの臨時国会(第184国会)を前に、今回はアフリカ出張報告を綴ります。

 25日(木)にモザンビークの首都マプトに到着し、ペレンベ科学技術大臣、レベロ運輸通信副大臣、イングレス運輸通信次官ほか政府関係者と面談しました。モザンビークはいったん欧州方式採用を閣議決定したのですが、森田前政務官始め日本側の働きかけで、日本方式による試験放送を今春から実施しています。6月に横浜で行われたTICAD-V(アフリカ開発会議)の際、来日されたゲブーザ大統領に安倍総理始め日本側から働きかけた経緯も踏まえ、試験放送を踏まえた日本方式の評価や技術研修の実施を提案しました。日本方式の長所は、テレビのみならず、携帯電話でワンセグ放送やデータ放送が同時にでき、電気が供給されていない地方部でも携帯端末さえあれば、情報を行き渡らせる事ができる点です。先方もこの事は理解が進んでおり、当方の提案を政府部内で検討するとの答えを頂きました。

 モザンビークでは、農業・物流分野等、日本の経済協力が行われており、日本企業による天然ガス、石炭、植物油、木質チップ加工等のプロジェクトも展開されていることから、我が国との関係を重視しています。引き続き、同じポルトガル語圏であるブラジルとともに、採用に向けて努力していきます。マプトはインド洋を臨む落ち着いた街で、海産物はイワシ、エビ、イカ、タコなど日本と同じです。赤みを帯びた土と水色の海、南半球の冬なので北寄りから昇る太陽が印象に残りました。

 27日(土)にマプトからヨハネスブルグを経由し、ボツワナの首都ハボロネに入り、29日(月)の放送開始式典、30日(火)の共同作業部会冒頭挨拶に臨みました。高地に位置するハボロネは、周囲に草原と低木が拡がる街ですが、4月は一面緑だった風景が、今回は冬らしく一面茶色に変わっていたのが印象的でした。担当のマシシ大統領府大臣とは、東京での会食以来僅か2週間での再会となり、今後地デジ移行の実務を担当されるモレフィ運輸通信大臣ともゆっくり話す機会が取れました。

 式典は、ケディキルウェ副大統領出席の下、SADC(南部アフリカ開発共同体)諸国のコンゴ、ザンビア、マラウィ、モザンビークからも大臣・副大臣等が陪席する中で開催され、私も日本政府を代表して、採用頂いた日本方式によるスムーズな地デジ移行の実現に最後までしっかり協力する旨、挨拶で誓いました。ボツワナでこれから始まる具体的な取り組みは周辺のSADC諸国も注目しています。ここで成果を挙げ、アンゴラ、モザンビークなどでの日本方式法採用、さらには南部アフリカ諸国とのICT分野での協力関係構築につながれば、という思いの中での「第一歩」を踏み出す出張となりました。冬晴れのハボロネの爽やかな空気を胸に刻み、同行頂いた総務省職員の皆さん、支援頂いた外務省大使館の皆さん、そしてこれからの具体的な協力作業に携わられるNHK始め民間の皆様に感謝しながらの出張報告とします。

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国政報告(第193号)

 昨21日(日)に参議院選挙が終り、地方区では堂故茂さん、比例区では山田俊男さんほか関係者が当選を果たしました。全体として自由民主党が65議席、公明党が11議席と、与党が76議席を確保して参院の過半数を超え、「ねじれ」が解消されました。新たな局面に入った国政の推移は、今後報告することとし、今週は24日(水)から1週間、アフリカ(モザンビーク、ボツワナ)に出張予定のため、先に193号をお届けし、次回は8月初旬にさせていただきます。

 総務省のICT成長戦略の各論として、先に医療・介護と教育を紹介しましたが、施設管理、1次産業、海底資源探査などの分野にも展開が期待されています。ここで活躍するのが「センサー」です。皆さんには自動ドアでおなじみですが、対象物の位置の変化を電波の力で把握する機能を持っています。多数のセンサーをネットワークし、情報を集約・活用することで新たな業務分野が広がります。

 地下に埋設された水道管や橋梁にセンサーを取り付け、漏水や橋の歪みを検知させ、管理センターに通報する仕組みを作れば、施設を一元的に管理できます。植物工場では場内の温度や湿度をセンサーで感知させ、適切な環境となるよう空調や水の供給をコントロールできます。海底資源の探査も無人センサーと適切な通信手段の組み合わせで効率化できそうです。このほか、登下校時の子ども達の見守り、有害鳥獣の監視、地すべりの事前予測など、センサーのネットワークで対応可能な業務は多岐にわたります。先月末に訪問した長野県塩尻市では、市内にセンサー網を張り巡らし、多様な可能性を追求しています。

 新藤大臣が主唱される「G空間」の活用も大きな可能性を秘めています。地球上の様々な対象物の位置を、宇宙空間に打ち上げた測位衛星で正確に把握し、その情報を集約して活用しようとするものです。実例としてカーナビがありますが、万葉線のドラえもん電車も、今どこを走っているか、常時ホームページに掲載されています。携帯電話からの119番通報も、電波が通る基地局が把握できるもので、消防本部ではおおよその場所がわかるそうです。加入者が自らの位置の公開を承諾している場合は、ズバリその場所に急行できます。物流分野では、貨物の入ったコンテナにICタグを付ければ、世界中どこでも現在地が把握でき、輸送状況がチェックできます。

 以上、4回にわたりICT成長戦略の描く近未来の社会の姿を紹介してきましたが、ネットワークをいかに構築していくか、また、一面、プライバシーの侵害などの副作用にどう対処していくか、課題は数多くあります。例年8月末の新年度予算の概算要求締切りに向けて、これから総務省内では施設・予算の肉付け作業が本格化します。戦略の実現に資するよう私も努力していきます。

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国政報告(第192号)

 今週も16日(火)、19日(金)が総務省の在京当番で、17日(水)は地デジ放送の日本方式を採用頂いたアフリカのボツワナ共和国マシシ大臣が来日、新藤大臣との会談に陪席しました。今週も東京からの報告となりましたが、ICT成長戦略の各論として、今回は、教育分野を取り上げます。

 毎年、この時期は県西部6市を中心に、県内各自治体の来年度に向けた重点要望を伺うのですが、数年前、氷見市と立山町から電子黒板の普及について、国の支援制度の強化を求められました。聞くと、総務省のモデル事業で市・町内の一つの学校に電子黒板を設置したところ、教育効果が上がり、全ての学校に展開したいのだが、自治体財政の厳しい折、国の後押しが望まれるとの事。私にも、是非教育現場の取り組みを見てほしいとの熱いお話しを頂きました。

 電子黒板は略称で、総務省ではインタラクティブ・ホワイトボード(IWB)と呼んでいます。黒板の代わりの電磁的なディスプレーと誤解を受けた事もあるのですが、教室では黒板とは別に昔の壁掛けやOHPのスクリーンのような補助的役割を務めています。ただ、ICT(情報通信技術)を使うので、コンピュータの画面と同じように様々な画像や動画も見る事ができます。子ども達の勉強する様々な学科に合わせて、学習内容を深めてくれる補助教材を見せることができます。今では、クラウド技術を用いて、教科書出版会社も補助教材のコンテンツをクラウド上に用意していて、学校側は年間契約しておけば、授業の際にこれをダウンロードして使う事もできるようになっています。先生方がコンテンツを全て手づくりする手間はかからなくなっています。

 さらに、ここ数年はタブレットの開発が進み、教室で子ども達一人一人に持たせる事も可能になりました。皆で算数の筆算に取り組み、ある子どもの回答をタブレットからIWBに送信して、先生が皆にわかるようにチェックして見せる事ができます。課外学習のまとめも、子ども達がグループに分かれ、材料を持ち寄ってタブレット上で新聞形式に仕上げ、IWBに送信して皆に見せる事ができます。地方圏の学校と自動車製造工場をインターネットでつないで、IWBの画面上で自動車の組み立て現場を「見学」する試みもなされています。総務省では、こんな未来型の授業に学校単位で取り組んでもらうフューチャースクール推進事業を平成22年度から4年間にわたり展開してきました。今回の私の拙い紹介は、この事業の対象校の授業を見学した内容を綴ったものです。

 フューチャースクール推進事業の成果を踏まえ、総務省は文部科学省と協力して、中期的に全ての学校の教室にIWBを整備し、子ども達各自がタブレットを持って授業が展開できる環境を整えて行く考えです。もちろん、これまでの黒板への板書も、子ども達のノートも大切な学習手段として残ります。そこにICTの力も加えて、学びの場をより充実させる事が私たちの目標です。

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国政報告(第191号)

 参議院選挙の期間中ですが、11日(木)、12日(金)は総務省の在京当番で、東京からの報告となります。富山もそうですが、梅雨が明けて夏の日差しが広がっています。

 ICT成長戦略の各論で、今回は、医療・介護分野を取り上げます。5年ほど前、高岡市長を務めていた頃に、市民病院に電子カルテを導入することになりました。投薬や処方など、病院内の仕事の流れをスムーズにする事が主たる目的でした。医師・看護師さんがうまくなじんでくれるか、心配しながらも、時代のすう勢だと思いきって進めた記憶が残っています。その後、毎年一回の健康診断に出向くと、画面上に過去の数値との比較や、レントゲン撮影・エコー検査の画像が次々と示され、胃カメラの結果も写真ではなく、動画で見る事ができ、手書きカルテとの違いを鮮烈に感じました。私の高岡市民病院での健診結果はこのように電子的に保存され、過去からの推移も簡単に確かめる事ができる訳です。

 大規模な病院から導入が進められてきた電子カルテですが、大学病院に導入されると、そこを拠点に養成される新人医師は皆、電子カルテを使いこなす事になります。医師免許を取った後の臨床研修先も、電子カルテを導入した病院が選ばれ、やがて、個人開業すればその医院には電子カルテが導入されるでしょう。このようにして、医師の皆さんの中で電子カルテを使う方の割合がどんどん大きくなっているのが今の流れです。ちょうど、皆さんが誰でも携帯電話を持ち、その半分がスマホになっているのと同じ現象です。

 病院単位で導入されてきた電子カルテの情報をつないで、ネットワーク化しようというのが、総務省・厚生労働省の提唱する「医療情報連携基盤の構築」です。まさに、I(情報)とC(通信)の組み合わせ、ICTの活用で社会に貢献しようとする戦略です。もちろん、電子カルテ上の病歴は患者さんの個人情報ですから、その取り扱いはご本人の同意が前提となります。同意が取れた場合、例えばかかりつけの医院から総合病院に紹介してもらう場合、また、総合病院での手術等を終えて、医院に戻る場合に、その間の検査・診断・処方等の情報が電子的にやり取りされます。同じ検査を2度受ける必要もなく、過去の病歴からより的確な診断ができます。このネットワークに院外の薬局や介護施設も参加してもらえると、処方箋なしに医師の指示した薬が薬局でもらえ、病院と介護施設の間で利用者の健康状態が共有できる事になります。

 世界に先駆けて人口の高齢化が進む日本において、ICTを駆使した医療情報連携基盤を2018(平成30)年度までに全国規模で展開しようというのが私たちの掲げる目標です。関係者の理解を得ること、大都市圏・地方圏それぞれの特性に応じてネットワークを展開することなど、解決しなくてはならない課題も多いのですが、電子カルテが普及しつつある今を「夜明け前」ととらえ、26年度予算を含め、精力的に取り組んでいきます。

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国政報告(第190号)

 久し振りに富山で報告を綴っています。先週末の土・日は在京当番、1日(月)はアフリカのアンゴラから地上デジタル放送方式の調査に来日された情報通信省のサフェッカ副大臣、テタ副大臣に対応し、2日(火)朝から富山に入っています。梅雨終盤の蒸し暑さの中、路傍のアジサイの鮮やかな花を楽しみながら、参議院選挙の活動をこなしています。

 サフェッカ副大臣には4月初めのアンゴラ出張の際に、日本方式の採択をお願いしています。今回の調査が良い結果につながることを期待しています。これも、総務省のICT成長戦略の一環です。我が国の優れた技術を海外にパッケージとしてシステム売りし、国内産業の成長に結び付けようとする取り組みです。政務官を拝命して半年間、総務省の通信・放送・郵政分野を担当させて頂いて、まさに日本がICT(情報通信技術)を生かして飛躍するチャンスの時、「夜明け前」であるとの思いを強くしています。

 たとえば、ここ1、2年の間に皆さんが使われる携帯電話の半数近くがスマートホンに変わっています。これまでの携帯電話に比べ、スマホはその機能が一段とコンピュータに近付いたと言えます。パソコンで有線の通信回線を使ってインターネットを使うのではなく、スマホで無線の通信回線を使うため、この帯域の電波の使用量(通信された情報の量)は1年間で倍増の飛躍的な伸びを示しています。振り返ってみれば、20年前には固定電話だったものが、オフィスから家庭へとパソコンが普及し、皆さんが携帯電話を使うようになり、さらにスマホへと急速な変化が続いています。日本経済にとっては「失われた20年」ともいわれる同時期が、ICTにとっては変化と成長の20年だった訳です。

 さらに、パソコンの機能を手軽に持ち歩ける形に集約したタブレットが出現し、タブレットとスマホの違いは通信機能の有無だけという、コンピュータと電話の「融合の時代」を迎えました。いわば、情報(information)と通信(communication)の融合、まさにICT(情報通信技術)の時代が到来しようとしていると言えます。

 身の回りを見てみると、テレビやエアコンのリモコン、自動車の鍵など、スイッチを入れたり切り替えたりする度に、私たちは微弱な電波を使っています。鉄道で便利なICカードも、改札の読取り機との間は電波で情報をやり取りしています。高速道路のETCカードやカーナビもしかりです。このように、個々の端末の情報を通信回線でやり取りし、ネットワーク化することで、経済社会を思わぬ形で変えていくことができる、それが私たちの目指すICT成長戦略です。次回以降、個々の分野におけるICT活用の現状と展開可能性について、この半年間の経験から得たものを順次報告していきます。

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