国政報告

国政報告(第179号)

 桜前線が北上する中、先週末は富山で満開の桜に出会い、今週の東京は新緑に早くもつつじが映える状態です。国会は12日(金)に続いて15日(月)も衆議院で予算委員会分科会での審議が進み、私も今後の郵政事業についての総務省の見解を述べる答弁に立ちました。16日(火)には予算委員会・本会議が相次いで開かれ、今年度予算案は衆議院を通過しました。私には、与党に転じて初めての本予算の審議・可決であり、その瞬間は達成感がありました。

 来週からは参議院での審議に移りますが、憲法の規定により、今年度予算は1ヶ月後の5月15日(水)までには必ず成立するので安倍政権の経済政策「三本の矢」の二本目、財政政策もこれで切れ目なく展開していくことになります。後は、三本目の成長戦略を具体的にどう構築するかが課題です。一方、国会の審議は大詰めを迎えている「マイナンバー法案」に続き、衆議院の定数を是正し、選挙違憲・無効判決に対処する「0増5減法案」が焦点です。

 昨年11月の衆議院解散の際、自由民主・公明・民主三党が合意して、定数是正の方策として小選挙区の0増5減と比例区の削減を検討するとし、0増5減を先行させて選挙区割りの変更案をまとめる審議会が設置されました。今回の法案はこの区割り審議会の結論に基づくものですが、野党側は比例区の取り扱いの協議もまとめてから法案を取り扱うべきとの考えです。与党側は、比例区の取り扱いについての各党の考えに隔たりがあり、協議が遅れることを懸念しています。今国会で、定数是正について何ら対応できないとなると、司法の違憲・無効判決に立法府として対処できない事になります。このため、「0増5減法案」の審議を進め、19日(金)にも委員会採決を行いたい考えです。

 私には与党に転じて始めての「与野党対立局面」ですが、ここは石破幹事長の姿勢の通り、頑張り所と思います。現在480ある衆議院の定数を、まずは0増5減で475とし、さらに比例区の180議席をどの程度削るか、与野党で時間をかけてもしっかり協議し、結果として450前後の定数にして、その得失を見定めるべきです。このほか、日米首脳合意に基づく「ハーグ条約」関連の案件や、年金保険料未納者救済の法案の審議も進んでおり、これらが成立すれば、今国会の出口は着実に見えてくるものと思います。野党時代から指摘してきた「段取りが組めるか」という基準に照らし、内閣は着実な歩みを続けています。17日(水)の党首討論でも安倍総理は安定感のある答弁であったと感じています。

 政府の一員として、私には成長戦略の一端である総務省のICT成長戦略の立案に、新藤大臣・柴山副大臣の下で努力する事が課せられています。今週は東京大学工学部で、世界中の気象・環境の様々な観測データを統合し、豪雨や津波の浸水予測や農作物への影響予測に役立てるDIAS(地球環境統融合プログラム)を見学しました。蓄積するデータ量がとてつもなく大きく、テラ(一兆)バイトからペタ(千兆)バイトといったレベルを超える「ビッグデータ」です。これをどうやって蓄積・保存し、解析して実社会に役立てていくか、ビッグデータの可能性を探る好事例と思っています。案内頂いた原田工学系研究科長、小関副科長、小池教授、田島教授、そして国立情報学研究所長でもある喜連川教授に御礼申し上げ、今週の報告とします。

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国政報告(第178号)

 アフリカ出張から戻って最初の一週間、東京は既に桜が散って新緑の季節となる中、留守中の書類を整理しつつ、いつもの仕事に復帰しつつあります。新年度予算案の衆議院での審議も大詰めを迎え、12日(金)と15日(月)には分野別の分科会があり、その後採決となる見込みです。並行して、内閣委員会では「マイナンバー法案」の審議が進み、衆議院の定数是正法案も取り扱いが協議されています。会期末の6月26日(水)まで後76日間と、概ね150日の会期の半ばまで進んだところで、まずは着実に案件の処理が進んでいます。

 今週は8日(月)の夕刻に地元入りし、9日(火)に旧二上工業高校の校舎を活用して新たに設置された県立高岡高等支援学校の開校式に出席しました。県立高校の再編計画の中で、既存の建物を活用し、障害を持つ子ども達に学びの場を提供するとともに、職業に就く準備を整える役割も果たす北陸で初めての教育機関が誕生した訳で、石井知事はじめ関係者のご尽力に御礼を申し述べました。

 東京では、自衛隊支援県議団の皆さん、南砺市吉江地区の皆さん、県西部からの国会見学の皆さん、各市長さんなど多くの来客がありました。石破幹事長、小野寺防衛大臣への面談や、国会正門前や会館での写真撮影などをこなしつつ、故郷の方々から多くの元気を頂きました。総務省では、年央のICT成長戦略づくりに向けて、通信・放送分野での具体的な施策の検討が煮詰まり始めています。

 そんな会議の合間を縫った10日(水)、新宿区若松町にある統計局の庁舎を見学しました。総務省の統計部門は、統計局と独立行政法人統計センターから成り、明治4(1871)年に前身の太政官正院政表課以来、140年余の歴史を刻んでいます。大正9(1920)年に始まった5年ごとの国勢調査をはじめ、毎月の家計・物価・雇用等の統計調査を担当しています。須江局長、戸谷センター理事長から業務概要の説明を受け、コンピュータ・システムによる統計結果の解析手法を見学した後、家計調査の調査票の処理作業を進めている部屋に伺いました。個々の世帯で家計簿として記入された毎日の購入した品物・個数・代金を品物の性質別にコード化し、パソコン内の書式に打ち込んでいきます。職員の皆さんは殆ど女性ですが、時には商品名で記入された品物の名前を、即座に適切なコードで入力していきます。記憶力と集中力が勝負のこの作業は、情報化が進んだ今日でも統計作成の根幹を成しています。この統計からは、各地域の消費動向の特徴も見出せ、富山県のコロッケの消費動向が全国でも最上位となっていることから、高岡市長時代に「コロッケのまちづくり」に取り組む事となったのを懐かしく思い出し、職員の皆さんに御礼の挨拶をさせてもらいました。毎週一つは現場を見る事を自分の課題として、頑張っていきます。

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国政報告(第177号)

 前号でお知らせした通り、国会開会中ではありましたが、皆さんのご了解を得て、総務省の用務にて南部アフリカのアンゴラとボツワナに一週間出張してきました。3月31日(日)の夕刻に桜の成田を発ち、香港で乗り換えて13時間半、南アフリカ共和国のヨハネスブルグに1日(月)朝(現地時間)到着しました。ここでさらに飛行機を乗り継いで、最初の訪問国、アンゴラの首都ルアンダにはお昼過ぎに着きました。

 私にとって初めてのアフリカの印象は、広い大地、青緑色の大西洋、赤茶色の大地、強い日光と汗ばむ蒸し暑さ、そして椰子等の南国の街路樹でした。アンゴラはポルトガルの植民地から1975年に独立しましたが、2002年まで内戦が続き、その後は石油の産出で経済が急成長しています。お世話になった現地大使館の車には、白バイの先導が付き、車が渋滞する街中をかきわけるようにして移動しました。経済成長に社会基盤が追い付かず、港は船混み、鉄道は無く、道路は大渋滞で、物流の改善が急務です。とはいえ、国の活力が街の喧騒に顕れており、将来の飛躍への期待を感じました。

 今回の出張目的は、我が国の地上デジタル放送方式(ISDB-T方式)を南部アフリカ地域で採用するよう働きかけるもので、その旨、安倍総理の親書を持参しての旅でした。先に南アメリカでは、2006年にブラジルが採用したのをきっかけに殆どの国がISDB-T方式となっています。南部アフリカでは、国々の連合組織(SADC:南部アフリカ開発共同体)が地デジへの移行期限を本年末とし、一部の国は欧州方式を採用しています。しかし、変換器が廉価で、ワンセグで携帯電話でも視聴でき、データ放送も使えるISDB-T方式の良さが次第に認識されています。我が国がブラジルと協力し、「日伯方式」としてPRを進めた結果、2月にボツワナが採用を決め、アンゴラ、コンゴ民主共和国、モザンビーク、ザンビアでも有望となっています。前任の森田政務官をはじめ総務省職員の数次の出張の努力を後押しし、我が国で6月1日(土)から開催されるTICAD-V(第5回アフリカ開発会議)に向けて、採用国を増やすべく、アンゴラでは情報通信省のロッシャ大臣、サフェッカ副大臣、国営放送のドス・サントス総裁等に面談し、お願いしました。アンゴラはISDB-T方式が技術的に優れていると評価しており、採否は周辺諸国の動向も勘案し、政治的に判断するとのことでした。

 3日(水)にアンゴラを出て、再びヨハネスブルグに戻り、翌朝、プロペラ機に乗ること55分で隣国のボツワナに到着しました。ボツワナは、英国の植民地から1966年に独立し、人口は200万人程度ですが、ダイヤモンドを始め、鉱物資源に恵まれており、一人当たり国民所得もアフリカ内では上位に位置する落ち着いた国です。首都ハボロネは標高千メートルを超える高原にあり、丁度、季節も北半球とは逆に秋に入ったところで朝晩はしのぎやすく、南部アフリカといえども一事で言えない多様性があることを感じました。

 既にISDB-T方式を採用頂いたことから、大統領府のマシシ公共政策担当大臣、情報通信省のモレフィ大臣等に御礼のご挨拶をし、今後の地デジへの切り替えに向けて、ブラジルも含め、三国で共同作業部会を立ち上げて取り組む旨、合意しました。特に、NHKの教育放送を参考に、教育分野での活用を図りたいとの意向であり、今後が楽しみです。両国とも、会談では我が国の2020年のオリンピック・パラリンピックの東京招致の取り組みに理解を求めるとともに、富山県ゆかりの「ドラえもん」の小さなぬいぐるみをプレゼントし、場の雰囲気がとても和みました。

 5日(金)、ハボロネからヨハネスブルグ、香港と来た道を再び航空機で乗り継ぎ、6日(土)の夜、春の嵐より一足早く成田に無事戻ってきました。お世話いただいた在アンゴラの名井大使、在ボツワナの小林大使、在南アフリカの藤原参事官ほかスタッフの皆さん、同行の山口企画官、佐藤秘書官、内田専門職、関口事務官に御礼を申し述べ、出張報告とします。

 また、アンゴラで昼食をはさんで懇談頂いた、「日本地雷処理を支援する会」の奈良さん、大工園さん、近藤さん、双日ルアンダ事務所の倉光さん、東さんの今後のご活躍をお祈り致します。

 来週からは、またいつもの報告に戻ります。

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国政報告(第176号)

 3月の最終週、東京の桜は今が最高潮です。今週は寒い日もあったお陰でお花見の期間が少し長くなりました。次は富山の桜が楽しみです。この間、国会では年度末案件の処理が参議院に移り、25日(月)から3日間連続で総務委員会が開かれました。省内で国会対応で一番ご苦労されているのは新藤大臣で、本会議、予算委員会を含め、殆どの質問の答弁をこなされています。私たちはほんの少しお助けするだけで、私については、郵貯・簡保の新規業務の認可手続きと東京タワーから東京スカイツリーへの放送電波の移転に向けた準備の進捗状況の2問に答弁しました。参院総務委員会には、同郷の又市議員、森田議員が所属されていて、短時間ながら毎回質問に立たれるので、お答えする機会を楽しみにしています。

 28日(木)には衆院本会議で50日間の暫定予算が可決され、29日(金)の参院本会議で年度末案件とまとめて可決されれば無事新年度を迎える事ができそうです。第二次安倍内閣がスタートして3カ月、第一コーナーを通過し、次は、25年度予算案の衆議院通過が課題です。一方、国民の税や社会保障手続きを効率化するために番号制度を導入する「マイナンバー法案」の審議も27日(水)から内閣委員会で始まっています。この法案と、各地の裁判所の違憲判決に対応する衆議院の定数是正法案がいわば今国会の目玉といえそうです。民主党政権の折に良く指摘したように、課題の解決は段取りを組み、先のスケジュールを良く練って進める事が肝心ですが、安倍内閣はこのことがキチンとしている事で安定感を増していると見ています。

 総務省では、若手補佐クラスの皆さんと月1回開催する二つの勉強会を相次いで開き、NHKの外国人向け国際放送「NHKワールド」の現状と活用方策、携帯電話通信事業者の国産端末への想いと支援の現状について、それぞれ関係者にも参加頂き、理解を深めました。NHKワールドは英語放送で、CNNやBBCの国際放送のように、我が国を拠点にアジアや世界の出来事を毎時30分のニュースで伝えるとともに、日本をアピールする多彩な番組を放送しています。国内ではインターネットでしか見る事が出来ないルールになっているのがちょっと残念です。一方、国産携帯端末の性能の良さは、耐水性や電池の持続力にあり、海外でもっとアピールしていきたいものです。

 このほか、ICTを用いた地域の医薬介護の連携方策、情報通信分野のイノベーション促進方策、大震災で見直されたラジオ放送の持続方策など、省内の公式の研究会も逐次開かれました。その成果は、6月を目途に「ICT成長戦略」として取りまとめる一方、官邸のIT戦略会議や産業競争力会議に向けて総務省として発信していくことになります。

 さて来週は、我が国の地上デジタル放送の方式を採用した南部アフリカのボツワナに御礼の、そして採用を検討中のアンゴラにお願いの訪問のため一週間海外出張することになりました。次号で報告しますので、お楽しみに。

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国政報告(第175号)

 20日(水)の春分を前に、東京では桜が咲き始め、週末には早満開の見込みです。急に季節の歯車がギュッと回ったところで、国会も年度末に向けて案件の処理が進んでいます。担当の衆議院総務委員会では、地方交付税法改正案、地方税法改正案、NHK新年度予算案の3案件が、丸2日間審議の上、21日(木)に可決され、22日(金)の本会議に上程されます。来週、参議院に舞台を移し、年度内の成立を目指します。その後、50日間の暫定予算の提出・成立で新年度を迎え、さらに、4月前半には25年度予算案の衆議院通過を目指すものと思われます。

 この間、私は17日(日)の党大会、春分の日の在京当番と、休日の東京暮らしが続きました。4年ぶりに与党に転じての党大会は出席者も一段と多く、再び政権を担う気構えと参議院選挙勝利に向けた緊張感がみなぎる元気な内容でした。司会を田畑代議士、議長団の一角を高平県連幹事長が務め、富山県連も気勢が上がり、出席された堂故氷見市長の参院選地方区での勝利を改めて誓い合いました。総務委員会では、何度か答弁の場面が予定されたのですが、時間の都合もあり、政策を語る答弁の機会はありませんでした。しかし、万葉集朗唱の営みは続けるようにと、民主党の原口元総務大臣、小川元総務大臣政務官から質問で促して頂きました。「梅の花 咲きて散りなば 桜花 継ぎて咲くべく なりにてあらずや(巻五-829)」、「ももしきの 大宮人は 暇あれや 梅をかざして ここに集へる(巻十-1883)」の二首を議事録に残すこととなりました。月曜日からの参議院総務委員会では、実質的な答弁も含め、また心して臨みます。

 総務省の動きについては、委員会審議のため、各種研究会も開かれず、現場見学の予定も延期しました。一方、政務官としての担当分野であるNHK予算の審議を通じ、首都圏における放送波の東京タワーからスカイツリーへの円滑な切り替えの問題、NHKの外国人向け国際放送(NHKワールド)の充実・活用、公共放送としてのNHKの運営姿勢や番組制作への期待など、様々な貴重な意見を同僚議員から寄せて頂き、心して事に当たっていきたいと思います。

 19日(火)には、超高齢化社会におけるICTの役割について、総務省のビジョンと取り組みについての取材を受けました。健康・医療・介護分野の情報通信連携や、ICTによる買い物支援、高齢者の皆さんに対するICT機器の普及など、これまで省内で議論してきたことを自分なりに整理し、他人に伝える良い機会でした。ふと気がつけば、来週で政務官の仕事も丸三カ月、ICTの横文字にも大分慣れてきました。地に足を付けながら、これまでに吸収してきたことを自分なりにまとめ直し、ICT成長戦略の取りまとめ等、当面の目標に向かって頑張っていきます。

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国政報告(第174号)

 今週の国会は、衆議院予算委員会で新年度予算案の審議が進む一方、月末の年度末を控えて税制改正など成立させなければならない案件が各委員会に付託されました。総務委員会を始め、来週・再来週は忙しい展開となりそうです。一方、TPPについて自由民主党内では17日(日)の党大会を前に、対応方針がまとまり、これを受けて安倍総理は今日(15日(金))にも交渉参加を表明する見通しです。国内にはTPPについて多くの懸念の意見があり、党も「例外無き関税撤廃」を原則とする交渉には参加しない事を含め、6項目を公約し、先の総選挙に臨んでいます。今回の対応方針は、公約の遵守を基本に、先月の日米首脳会談の結果を踏まえ、関税を維持したい農産物等、我が国の国益を明らかにしたものとなっています。この間、12日(火)には富山県JAの穴田会長始め多くの方々が上京され、県選出国会議員との会合で、本当に国益が守れるのか、真摯な訴えがありました。内閣が決断する以上、党の公約を踏まえ、皆さんに納得頂ける交渉を進めなければなりません。関係者は重大な決意を持って事に当たるものと思います。

 今後のTPP交渉の流れですが、日本の参加意思表明を受けて、これをアメリカが認める手続きが必要です。その際、日米首脳会談を踏まえ、自動車と保険について、二国間での合意が求められます。報道ベースでは、自動車はアメリカ側の関税を維持する事、保険については継続協議と言われています。総務省関係では、かんぽ生命の取り扱いが該当することになります。二国間合意を経て、我が国は本交渉に参加していくことになります。日本の農産物、米国の工業製品をそれぞれ保護する見通しとなった事から、TPPと一般のEPAとの違いは薄れたものと考えます。日本を巡る東アジアの安定のためには良好な日米関係が不可欠という、外交・安全保障面の国益を含め、守るべきものを守らなければならないと思います。

 さて、総務省の業務については、11日(月)に新東京郵便局、13日(水)にNHKの国際放送スタジオを訪問しました。新東京局は江東区にあって、東京23区と全国との郵便物を集中的に捌いており、我が国の郵便配達ネットワークの心臓部と言えます。大きな建物の中に、郵便物を番号で読み取り、行き先別に仕分けする装置が配置され、さながら工場の観です。稲澤局長は富山県出身とのことでご縁を感じながら説明を受けました。ゆうパックについては、配送のみならず、保管や軽加工など、周辺の物流業務への進出も今後は考えていくべきと感じました。

 NHKでは、外国人向けの「ワールドTV」のスタジオや編集部門を見学しました。アメリカのCNN、イギリスのBBCのように、海外から信頼される報道と日本への理解を進める目的で放送開始して4年が経過しています。業務としては軌道に乗る一方、所期の目的達成に向けてさらなる改善に取り組む時期だと思います。引き続き、現場に足を運び、ICTの様々な可能性を議論し、年央の政策取りまとめに向け、努力していきます。

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国政報告(第173号)

 今週は、4-6日(月-水)と衆・参両院で先週末の四大臣演説に対する各党の代表質問があり、7日(木)からはいよいよ衆議院予算委員会で新年度予算案の審議が始まりました。予算の性格、安倍政権により見直された内容、また、TPPへの今後の対応等が論戦の焦点となりそうです。

 私については、7日に東京高岡会の会合があり、「総務省というところ」と題して、最近の活動状況を話させて頂きました。炭谷会長はもちろん、高校時代の同級生が10人出席してくれて、政務官就任を祝うブーケを用意して激励頂きました。卒業から34年が経ちますが、こうやって折々顔を見る事ができるのは心強いです。たまたま前日の6日には、国家公務員時代にイギリスに留学させて頂いた時の懐かしい友人5人が久しぶりに集まる機会もありました。総務省の仕事を始めて2カ月余り経ち、ようやく皆さんに自分の役割を具体的に語れるようになったように思います。

 さて、政務官としての一週間ですが、7日に横浜国立大学附属横浜中学校へ電子黒板とタブレット端末のパソコンを使った授業を見学に伺いました。総務省のフューチャースクール推進事業の実証実施校として、生徒が一人一台の端末を持ち、教員の皆さんがICT機器を活用した授業に取り組んでおられます。鈴木学長、蝶間林校長始め皆さんのご案内で、1年生と2年生の理科・数学・英語・総合学習の授業を見せて頂きました。気象庁のホームページから当日の各地の天候や天気図を読み取ったり、専用のソフトウェアを使って与えられた数値でグラフをきれいに描いたりする生徒の皆さんの手際の良さに感心しました。英語では、「What am I 」(私は誰でしょう?)というクイズを学習した英語表現を用いて各自が作り、答え(「ピカチュウ」とか「非常口表示」とか、色々でした。)も画像や動画で表現していました。先生が指名した生徒の端末から瞬時にクイズの内容が電子黒板に伝達され、とんちの効いた問題と答えにクラス中が沸きました。総合学習では、鎌倉での校外学習のレポートを5人毎の班に分かれてパワーポイントで制作していました。

 授業の後で生徒代表と先生方から感想を伺いました。生徒の皆さんはICTのもたらす様々な力を通じて授業に興味を持っており、先生方はICTを効果的に授業に取り入れる反面、生徒同士のコミュニケーションが活発になるように特に注意されているとの事でした。電子黒板については、以前に富山県内の首長さん達からその効果について聴いていたのですが、この見学を通じて留意点を含め、理解を深める事ができました。

 一方、7日、フランスのオ・ラン県(ライン川上流の意)から東日本大震災への日本の取り組みを視察に来られた消防職員にお会いしたほか、「ICTコトづくり」「イノベーション創出」「G空間×ICT」「生活資源」と四つの会議に出席しました。省内では、ICT成長戦略の立案に向け、議論が急ピッチで展開しており、まさに「百花繚乱」の観があります。自分なりの視点と座標軸を大事にしながら、成果を出していきたいと思います。引き続き、総務省と国会を往復している様子を報告していきます。

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国政報告(第172号)

 先週末の安倍総理の訪米で、日米間の外交上の懸案は新たな展開を見せました。事前の予想通り、日本側は普天間基地の移設問題での具体的な努力とハーグ条約への加盟を約束し、TPPについての米側の真意を探る出方となりました。首脳間の率直な会談の結果、文書で「例外なき関税撤廃をあらかじめ想定するものではない」との合意に至りました。日本側は農産物、米側は工業製品について関心が高いことも認め合いました。一方、自動車と保険の2分野については、米側が、日本のTPP交渉参加の前に協議したい旨、明確な姿勢を示しました。これを受けて、25日(月)の自民党役員会で交渉参加の判断を総理に一任する一方、総選挙時の公約は堅持する旨、内閣に申し入れました。

 この推移について、国内では様々な反応がありますが、私なりには総理訪米に際して準備が周到に進められたことで、外交的には日米関係の再構築という目的が達成されたものと受け止めています。TPPの前途は、総理が参加の意思表示を慎重に判断されるものと思いますが、一点大切なポイントは、米側が日本の参加を了承する前に自動車と保険の2分野についての事前協議が明らかに必要となったことです。この点は私が野党時代から政府に何度となく確認してきた問題で、牛肉は子牛の検査を緩和したことでクリアしましたが、残った2点の解決策は現状では未だ見えておらず、TPP交渉参加への道のりはそう単純でもないように思います。

 今週は26日(火)に補正予算が参議院で1票差で可決・成立し、28日(木)には両院で恒例の4大臣(総理・外務・財務・経済財政担当)演説があり、新年度予算の審議がスタートしました。来週の4―6(月-水)日に両院での代表質問が行われ、7日(木)以降、衆院予算委員会を舞台に本格的な論戦が始まります。例年より1か月遅れの運びとなっており、ゴールデン・ウィーク前後の成立を目指す事になりそうです。

 安倍内閣の2カ月間は、内政・外交とも堅実な歩みとなり、与党の一員としてもまずは順調な推移にほっとしています。持ち場の総務省では、経済再生のための「3本の矢」の最後の成長戦略に情報通信分野で寄与すべく、23日(金)に有識者からなるICT成長戦略会議が立ち上がり、その下で、今週は超高齢社会構想会議と放送サービス高度化委員会が開催され、出席しました。一方、見学は千葉県柏市の「柏の葉スマートシティ」で電力制御システム、ICTを活用した健康づくり、さらに千葉大学の植物工場を訪問しました。この2カ月で情報通信技術(ICT)の活用分野として、医療・教育・エネルギー・健康・農林水産業など様々な分野の可能性を実感しています。いずれも、関係者のニーズをいかにうまくとらえ、ネットワークに参加する方を増やすことで「スケール・メリット」を出し、商業ベースに乗せる事ができるかが課題であり、その解決に私自身も努力していきたいと思います。

 先週の20日(水)、今週の25日(月)と、省内の若手・中堅職員の皆さんとの語り合いも始めました。テーマは、「日本の放送番組をいかに海外に売り出していくか」「日本製の携帯電話の市場シェアをいかに取り戻していくか」の2つです。職員の皆さんの日ごろ業務に裏打ちされた的確な情報と、新鮮な問題意識に啓発されるところが大きいです。「どんな番組が必要なのか」、「携帯電話にどんな工夫が必要なのか」、それぞれ月1回ペースで話し合っていこうと思っています。参議院選挙前の6月頃を当面のゴールとして、総務省での仕事を進めていきます。

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国政報告(第171号)

 今週は補正予算の審議の舞台が参議院予算委員会に移り、21日(木)に政務官として初答弁しました。谷岡郁子議員からの日本郵政株式会社の純資産は幾らか、という事実関係の質問で、11兆円余りと答えただけですが、ともかく政務官としての国会初仕事でした。たまたま、小矢部市議会の創生会の議員の皆さんが上京されていて、傍聴席で見守って頂きました。

 週末には安倍総理が初訪米され、来週には補正予算も参議院で採決されて成立する見通しです。日米間では、普天間基地の移設問題、近隣諸国への対応、TPP問題、ハーグ条約への加盟等の案件が話し合われる見込みです。首脳間の意思疎通を土台に、安倍外交が本格的に展開し始めることになります。月末からは、新年度予算案の審議が始まり、さらに内閣提出の法案・条約へと議論が進んでいきます。政府・与党として、慎重かつ着実に国政を前進させて行かなければなりません。

 総務省では、20日(水)に東京都の檜原村と神奈川県の相模原市に出かけ、地域で頑張っている郵便局の実情を見てきました。檜原村は都心から50キロ離れた東京の西の山あいに位置し、人口は2500人余りです。奥秋川に沿って村内に集落が点在し、一通り郵便配達をすると100キロ程度走らなければならないとのこと。金融機関は檜原郵便局とJAあきかわの支店だけで、坂本村長さんは、昨年春の郵政民営化法改正案の国会審議の際に、参考人として村における郵便局の存在の重要性を強く訴えられたことが私の印象に強く残り、今回訪問させて頂きました。大切な時間を割いて、村の産業・教育・福祉面の取り組みを伺う事ができ、地元の木材を活用して小中学校の教室の木質化や図書館の建築を進めたこと、村の診療所に電子カルテを導入し、CT撮影の結果を遠隔地の病院に送り、即時に診断できる体制を作ったこと、空き家を村営住宅に改築して若い世代の定着に努力していることなど、前向きに頑張っておられる姿に感銘を受けました。檜原郵便局の吉野局長も村民で、地域に根差した局運営を心掛けておられます。郵便物の集配・配達はあきる野市の局に集約されていますが、村内では新聞も郵便物として配達している地域があること、未舗装の山道をオートバイで走る箇所もあることなど、ユニバーサル・サービスを現場で担うご苦労の一端に接しました。

 村長さんからは、人口が希薄な地域における郵便局の重要性を再度承り、次は、神奈川県の最北端、旧津久井町で現在は相模原市緑区の三ヶ木簡易郵便局を訪ねました。簡易郵便局は郵便局のネットワークの足りない地域で個人の受託者にお願いして窓口を設け、業務を遂行頂いているものです。成瀬局長は神奈川県の簡易局長の会長も務めておられ、業務内容の細かい変更にも的確に対応され、他の簡易局の相談にも乗っておられるとのこと。世代交代等で、簡易局の受託者が確保できない事が「郵便局閉鎖」問題につながっており、後継者育成の重要性を説かれました。

 このように、所管分野について一つ一つ現場の姿も体感しながら、職責を少しでも果たしていければ、と思っています。今週から、省内の課長補佐クラスの皆さんとの勉強会も始めました。来週はその報告もしたいと思います。

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国政報告(第170号)

 前号でお知らせした通り、この建国記念日の土・日・祝の3日間は総務省の在京当番となり、東京で過ごしました。国政に関わらせて頂いて以来、週末はほぼ必ず富山に戻ってきたので、「東京の週末」を公務員時代以来、久しぶりに体感させてもらいました。といっても、23区内に常時いる事が決め事なので、上野の都立美術館で「エル・グレコ展」を見た他は、デパートを覗いた程度です。冬晴れの中に春の明るい日差しを感じさせてもらいました。

 明けて12日(火)の昼休み、北朝鮮の核実験のニュースに驚かされました。週末に起こっていれば、自分も総務省と連絡を取って行動しなければならなかったのかと思うと、在京当番も緊張感を持って臨まなければ、と改めて自戒させられました。早速、衆議院では14日(木)の本会議で抗議決議が全会一致でなされました。補正予算も同時に賛成多数で可決され、参議院に送付されました。これに伴い、総務委員会で地方交付税法の審議があり、新藤大臣以下政務三役も就任挨拶をさせて頂きました。やがて自分の担当分野の審議があれば、答弁に立つ事になります。今回は坂本副大臣、北村政務官の出番でした。まずは、安倍内閣として衆議院での初仕事が終わり、来週後半の総理訪米の前後で補正予算も成立の見込みです。おって、月末から新年度予算の審議が始まり、今国会も佳境に入っていきます。

 内閣の大きな動きを見ると、政府の円相場、株価が引き続き経済界を安心させる水準で推移する中、その好影響を賃金上昇を通じて家計に及ぼすよう、総理自ら経済団体に働きかけています。さらに、来週の訪米で安倍外交が本格的に始動します。日米間の懸案は、沖縄の普天間基地の移設、TPPへの対応、そして我が国のハーグ条約批准の3点に絞られるようです。最後の条約は、皆さんには余り馴染みがないかも知れません。国際結婚した夫婦が離婚の際に、子どもをいずれの親が引き取るかでもめた場合、片方が勝手に国外に連れ去る事を禁止するものです。もちろん、正当な理由があり、手続きを踏めば、禁止は解除されます。今回の訪米に向けて、ハーグ条約の対応は前進させようというのが目下の流れのようで、党内の議論が進みつつあります。一方、TPPについては、選挙公約を遵守し、慎重に臨むものと思われます。

 私自身の動きとしては、8日(金)にNHKの技術研究所と研修センターを見学しました。研究所では、開発が急ピッチで進められているハイビジョン、すなわち4K・8Kテレビの実物を見せてもらいました。画面がそれぞれ今の液晶テレビの4倍、16倍細かくなり、雑踏の人混みを離れた所から見た映像でも、一人一人の顔が鮮明に見えるくらいの素晴らしい解像度です。ここまでくると、画面の中の物が自然に立体的に見えてくるし、音響も20を超えるスピーカーでとらえる事ができ、オーケストラも目の前で実際に演奏しているように聞こえます。この画面を分割し、インターネットも併用して多様な情報を双方向でやり取りすること(ハイブリッド・キャスト)も可能です。これからのテレビの可能性の広がりを感じるひと時でした。このほか、EU議会から代表団一行が来日され、13日(水)には、日本側国会議員の有志との間で意見交換するセッションが催され、出席しました。ICTから外国語まで、盛りだくさんの一週間でした。

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