第20回ミニ対話集会 税理士会

1.電子帳簿保存義務が来年1月から発生するが、税務署の広報活動が不十分である。

(答)DX は時代の趨勢で、私自身も含め、ベテランの方々にもぜひとも対応頂きたいと思います。政府の広報活動は、マイナンバーもそうですが、とかく対応が遅れがちなので、国税庁に今後の展開を聴いてみます。

2.インボイスの導入が今年10月に迫っているが、1.と同様に広報活動が不足している。例えば、農事法人は取得すべきか否か迷っている。

(答)1.と同じく、国税庁に照会します。

6月17日(土) 第20回ミニ対話集会/税理士の皆さま

3.客先によっては、コロナウイルスの打撃から十分に立ち直っていない。

(答)飲食、宴会、宿泊、長距離バスなど、コロナ以前とは需要が異なる業界があることは感じています。コロナ時の「ゼロゼロ融資」の返済に困窮されるなど、「弱者」が置かれている現状を把握、対応することは当然必要ですが、中長期的には、我が国経済を成長させるため、時には市場からの退出、業態転換もやむを得ないと考えます。

4.税務教育に取り組んでみて、将来は社会保障における支えられる人、支える人の関係が1対1に近づく事が深刻に思われる。

(答)ご意見はもっともで、「全世代型の社会保障改革」の中で、納得感のある政策を構築し、その説明の方法を良く検討していきます。

5.雇用促進税制は、数次の改正で使い勝手が良くなってきている。来年3月末までの制度だが、ぜひとも延長頂きたい。

(答)働き方改革の目玉税制として導入されているものです。今後の取り扱いについては、ご要望を含め、国税庁に聴いてみます。

6.人手不足の折、「103万円の壁」、「130万円の壁」の撤廃を望む。

(答)現行の労働政策は、少子化対策の観点も含め、いわゆる「3号保険者」を減らし、女性にも自由に働いて頂き、良質な人材を社会に供給していく事を念頭に置いていると思います。実際、国民年金のみでは老後に受け取れる金額が1か月7万円程度であり、手に職のある個人事業主でなければこれだけでは生活が成り立ちません。厚生年金の対象者を小規模事業所、短時間労働者に広げていく施策も進めており、「壁」を意識しない環境を作り上げていくべきだと考えます。

7.物価等コスト上昇の対価を、客先に転嫁しづらい現状がある。

(答)現下の急激な物価高の進行については、国もガソリン代や電気代について激変緩和のため、財政出動を当面9月まで続けることにしており、自治体には自由度の高い臨時交付金を交付し、地域事情に即したきめ細かい対応をお願いしています。しかし、中長期的には、賃上げも含めて経費の増分は客先に転嫁頂くのが筋であり、公正取引委員会の調査、交渉に応じない元請社の実名公表などの手段で、下請けの皆様の交渉を応援していきます。

8.税務署は以前よりも、税理士など現場の声を良く聴いてくれるようになったと実感している。ついては、確定申告の期限を3月15日から4月15日に延ばしてもらえないか?また、E-TAX使用が義務付けられている大企業が紙で申告した場合に無申告加算税の対象となる制度は過酷ではないか?

(答)国税庁に照会します。

9.ふるさと納税に返礼品を出すことは疑問である。

(答)以前に返礼品が華美になり、自治体間競争を煽ると問題になり、寄附額の3割以内に制限された経緯があります。年末には返礼品を紹介する特設サイトが繁盛するなど、一種社会現象化している実情も踏まえ、今後の対応を総務省に照会します。

10.為替相場の推移を見ても、我が国の国力の衰えが心配される。政治の頑張りを求める。

(答)円ドルで見ると、戦後、「1ドル360円」で始まり、ニクソン・ショック、プラザ合意などで「1ドル70円台」まで円高となり、最近は「1ドル140円」に戻しています。昨年からの30円程度の下落は内外の金利差によるものと思われますが、長期金利を0.5%程度にしておかないと経済が変調を来すとされる我が国の状況は改善すべきです。国が成長分野に資金を投じ、民間部門が過剰に蓄えている資金を成長のための投資に向けさせる政策を進めて行きます。

6月17日(土) 第20回ミニ対話集会/税理士の皆さま